カズシン・ブログ

カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。

昔、町の不動産屋で勤めていた頃の話。多様な社会、人は様々です。

2021.01.13

中国人や台湾人が日本の不動産を買うという情報が浸透して、ずいぶん経ちます。

中国や台湾の投資家の方々に、日本の不動産(売り物件)を紹介し売買仲介している不動産業者さんも増えてきたと感じます。

 

そうした不動産業者さんから個別にうかがったお話の1つとして。(たくさんの人のお話を聞いたわけではありません。)

 

以前は日本の不動産に不慣れなこともあり高くても買うケースもあったそうですが、今ではすでに複数所有しており、目が肥えてきているため、日本人と変わらない目線になって、基本的に高買いするというケースはほとんど見られなくなっているそうです。

 

ホテル(インバウンド)については、コロナ禍が収束し、戻るまでまだ時間がかなりかかりそうです。戻ることを前提に、「安ければ買う」という姿勢とのこと。ホテル物件はたくさん売りに出ているし、これからまだ出てきそうです。だから、何でも買うわけではなく、その中から、都心でも郊外でも、規模(部屋数)の大きい小さいものどちらのケースもありますが、お眼鏡にかなうものが「安ければ買う」(高いと買わない)そうです。

 

また、RCの一棟マンション(木造のアパートではなく)は好んで買っているそうです。ホテルの場合は、バスに乗せて中国人の団体観光客の宿泊で考えているそうですが、一棟マンションの場合は、日本人の入居者を中心に考えているそうです。

 

区分マンションを現金で買う、店舗(一棟、区分ともに)物件は中国人にとって買いやすい、など、いろいろあるようです。

 

相場観が形成されてきているため、日本人がその金額では高くて買わない、という物件は同じように高いと感じるそうです。

インターネットで日本の不動産の物件情報を簡単に見ることができるようになっているため、物件スペックから、およそ相場が理解できるようになっているそうです。

 

私が買った中古区分マンションの1つは、中国人の方が売主様でした。仲介の業者さんは、中国に拠点を持っているところでした。

入居者さんも中国人の方です。家賃保証会社は、外国人専門のところです。

 

これからの賃貸経営では、とくにコロナ禍が収束すれば再び、外国の方が入居者となるこうしたケースは多くなってくると思います。

慣習等が違うため外国人の入居者の受け入れを躊躇する日本人大家さんは多いでしょうが、家賃が入ればそれでいい、賃貸経営は部屋を貸して家賃をもらう商売でそれ以上でもそれ以下でもない、という視点に立つならば、抵抗感は薄れるでしょうか。

とは言っても、人間が生活をする場なので、家賃がもらえればそれでいい、それで済む、というわけでもないのが賃貸経営でしょう。

音の問題、ゴミ捨ての問題、いろいろあります。

 

20年以上前、町の不動産屋さんで勤めていた頃。アパートの大家さんが困ってやってきました。

中国人の方が入居していたのですが、廊下(共用部分)に大きな私物を置いて、通るのも大変だとのことでした。

大家さんが注意をすると「日本語わからない」と言われて、聞いてもらえないそうです。

現地アパートへ私も行ってみましたが、大家さんのおっしゃる通りアパートの共用廊下他に荷物が大量に置かれていました。私が入居者さんにお声を掛けた時も、「何にもわからない」といったジェスチャーをして立ち去りましたので、聞いていただけそうな感じは見られませんでした。

別の物件(こちらはマンションでした)で退去の立ち会いに行った際に、台所の換気扇が油だらけ(油を使う料理が多かったためでしょう。)だったことなど、あわせて、いくつかの出来事が思い出されます。

もちろん、慣習、風習が異なる、言語が異なるのですから、いいわるい一概に決め付けられないところはあります。

 

あれから、20年経ち、今はいろいろ変わってきていると思いますが、当時は外国の方に部屋をお貸しになる大家さんはほとんどおられず、一部のお貸しになった方も「次はもう貸したくない。やはり日本人に貸したい」とおっしゃる場面を見ました。

今は空室が増えてきており、入居についてあまり条件を言うのが贅沢みたいな感じもありますが、空室が続いているからと言って一旦部屋を貸してしまうと、家賃をいただいている限りは、簡単に退去していただくわけにもいきません。

そうなると、やはり、入居してからのトラブルはできるだけ避けたいと思うものでしょう。

家賃保証会社は家賃は保証してくれますが、それ以外については、大家さんや不動産会社の困りごとはおおむね自力で解決しなくてはなりません。

グローバルになって、私の経験した20年前とは状況はずいぶん変わり、コミュニケーションもとれるようになってきていると思いますが、生活習慣の違いなどが完全になくなるというのは難しいことでしょう。

できるだけ、解釈の差を埋めていけるよう、貸す側も理解力を高め、コミュニケーション力を惜しまない努力が必要なのだと思います。

外国の方だけではなく、もちろん日本人の入居者さんであっても、理解とコミュニケーションが必要になります。

 

たとえば、どういう場面があるかと言えば。

退去後、原状回復の工事の手配を頼まれて(退去時の立会いは大家さんご自身がされました)、アパートへ行った時。ご家族(親御さんと子供さんたち)でお住まいでした。見るとトイレが破壊されていました。昨日破壊されていた状態ではなく、ずっと前から破壊されていたと思われました。

また、そのお部屋の天井は、棒でつついた跡がたくさん残っていました。1階のお部屋でしたので、おそらく2階(上の階)の方の歩く音や物音などが気になったので、突いて静かにしてもらおう、音を止めさせようとしたのでしょうか。

他にもいろいろなお部屋を見てきました。

 

家賃滞納しているので、お部屋に督促に行くと、「ペット不可」の契約なのに、猫ちゃんがお迎えしてくれたり。家賃の話の他、「ペット不可」の契約内容のご説明もすることになりました。

 

アパートに夜中に救急車がきたと聞いたお部屋では、その後、付き合っている彼が付き添って入居者さんが来店されました。

精神的に不安定となり自傷行為を抱えていたようです。部屋の解約をするため、彼が手続きの手助けのため一緒に来たのでした。

 

年末、ご高齢となったご夫婦がお部屋を探しにきました。お身内に車に乗せられて、不動産屋の前でおろされたそうです。「行くところ(帰るところ)がないので、今日から住める安いお部屋を紹介してほしい」。

 

毎日電話をかけてきて、現実ではないことを話し続ける入居者さんもいました。

お住まいになっているアパートへ行くと、玄関の扉の隙間にテープがびっしり貼られていました。誰かに覗かれていると感じていたのでしょうか。

 

家賃滞納しての夜逃げもありました。当時は、今のように「家賃保証」(家賃保証会社)が一般的ではありませんでした。

 

諸々思い出せばきりがなく。部屋(物件)を貸すというのは、ただ物を貸す商売とは違う面があると私には思えます。

 

皆さんは、いかが思われますか。

 

カズシン株式会社

代表取締役 山内和美