カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2020.01.17
数年前、金融商品にいろいろ投資をされている会計士の方からきいたのですが。「年をとると(その方は60歳代後半?くらいに見えました)、不動産で持つ気にならないのよね。いつでもすぐに現金に変えられる方が楽なのよ。」
多額の相続税の心配がある方であれば、やはりいろいろ計算すると不動産で持たれる方がいい場合も多く、土地を購入して新築し賃貸するという不動産投資を続けておられる方もおられます。好むと好まざるに関わらず、計算すると明らかにその方がいいから、という選択もあります。
しかし、年齢が高くなると不動産投資は気が重くなるという方は案外多いのではないかと思われます。
先に書いた会計士の方は「不動産で残すと、分けるのも・・・」とも。「すぐに現金になるものであれば、残していっても、分けるのも簡単で早いから」と。そんなお話だったかと。
不動産に一度で多額の投資をおこなうほどの資産、現金がないからという明確な事情、理由のある場合だけではなく、かなりの資産、現金をお持ちの方で、不動産投資より(多少でも)高い利回りを目指しつつ金融商品に投資をする方がおられます。その中には、年齢層の高い方もおられるようです。
母の話になりますが。「年齢が高くなると、今から不動産を持とうとは思わない。資産がいっぱいある人だったら不動産を持とうと思う人もいると思うけど。」と言います。
母は今余裕もあるわけではないので、不動産にこれから投資してと仮定しても現実問題、それほどいい話にはならないでしょう。だから、そう思うのは妥当だと感じます。
投資信託であれば、手間もかからず、すぐ現金になる。母にとってそういう方が気が楽なのは、母がもう年齢を重ねて年齢の話で言えば「老人」になったということを示しているのでしょう。
さて、不動産投資について
このところ築古の一戸建や築古高利回りのアパートなどを買う「築古物件」が人気があるとききます。
古い戸建や古いアパートは、修繕費がかかるので、現実は甘くはないと思いますが。
物件も時代によって人気が出たり無くなったりするものです。
古い戸建を買ってリフォームして賃貸、高利回りを狙うというサラリーマン大家さんもおられるようです。
東京でも空き家が増えており、これからは、競合の近隣戸建との競争は厳しくなっていくのではないかと私は思っています。
東京でも、昔、以前は、賃貸に出される戸建の割合が少なくて、ペットが買えないマンションも多くて。戸建の需要と供給で言えば、需要はあったと思います。しかし、今は物件のグレードや駅からの距離などに違いはあるものの、戸建賃貸物件を入居者の方で選べる時代に変わってきていると思われます。
だから、戸建を貸すのも入居者に選んでいただけないと難しい時代と言えそうです。
二十年くらい前のこと、私が地元密着型の不動産会社に勤めていた頃、売買の仲介より賃貸管理や賃貸物件の仲介などに、仕事の時間と労力を使っていました。
約6年間勤めました。そこで不動産業務の基本を一通り経験しましたので、今につながる修行の良い機会をいただいたと思っています。
その当時は、戸建の賃貸と言えば、それほど数がなくて、多少割高でもペットが飼えたり、駐車場が付いていたりすると(その戸建物件の内容によってですが)決まるのは早かったと思います。あれから、20年も経つと、状況は変化するのが当然でありますから、今は戸建賃貸も決めていくのは思った以上に簡単ではないかもしれません。
築古アパートも同様に思います。私が賃貸管理、仲介をしていた当時でも、古いアパートは入居付けに苦労をしていました。
もちろん立地によるとは言え、今の時代であれば一層、古いアパートに入居者を入れることは、普通の話では、簡単ではないことでしょう。
難しい物件だから、利回りは高くないと買えないというのは道理があります。
だから、「高利回り」がポイントになっているのでしょう。
反対ではないと思います。利回りが高いからすなわち「いい物件」ということではなく、利回りが高くないと合わない物件ということです。
こうした築古戸建や築古アパートを買って高利回りを実現されて、不動産投資に成功されている方もいるのでしょうが。全般的に言えば、長続きするものなのかというところが、気になります。
いろいろな方がいて、いろいろな投資、いろいろな不動産投資のやり方や好みがあるものですが、空き家が増えているこの時代にあっては、立地の良い駅近の区分マンションで手間かからず楽に入居者に入ってもらえる物件など、利回りはそう高くなくても、安定的に入居付けができ気苦労が少ない物件に投資をされることは、物件の選定を間違わなければ、わるくないのではないかと思っています。
売って現金にしたい時にも、市場で動きやすい面もあります。
居住用賃貸物件の仲介をしていた頃、今ほど戸建空き家は市場になくて、またアパ―ト、マンションの空室率もまだそんなに高くなかった時代であったとして、それでも、アパートマンションで入居付けに苦労する物件というのはありました。
家賃設定が高いということもありますが、近隣に新築が建てば新築に入居者は持っていかれ、築10年を経過した頃から空室が埋めずらくなるというのは、不動産業界にいれば、よく聞き、言う言葉です。
築古戸建や築古アパートで高利回り投資が実現できる方もおられるのでしょうが、長い目で見れば、修繕にお金がかかったり、入居付けに苦労をしたり、よほど家賃を下げなくては入居が決まらない物件は、気苦労が多いと思われます。
不動産投資は手間暇がかからず、というのが魅力だと思います。
一旦入居者が入れば、出るまではほとんどなにもしなくていい。こういう状況が不動産投資の理想ではないでしょうか。
私の考えとは別に、手間暇を惜しまずその分利益に変えたり、物件選定の基準が利回りであり実際に高利回りで利益を残されている方もおられるのでしょうが、難度の高い投資スタイルであり、誰にでもできることではないと思います。
皆さんは、手間暇かけて不動産投資をして利益を多くしたい派ですか? それとも時間と労力を割かず、ほどほどでいい派ですか?
不動産投資の好みも分かれるところでしょう。
弊社は、「一般不動産投資顧問業」登録をしています。不動産投資のアドバイスのような感じもこの「ブログ」には時々入っていると思います。
それが皆さんにとっての正解になるのかどうかは、私にはわかりませんが。
どのような不動産投資についてのお考えがご自分にとって一番しっくりくるのか、その感覚は、ご自身の生き方やどのような物件に価値を見出されるのかという価値観に結び付くものであり、一律なアドバイスはフィットしないことでしょう。
たくさん投資をされている方、高額な不動産投資で資産家の方、いろいろな方がおられますが、種類や投資金額の多寡ではなく、個別にご自身が何においてもどう選択されているのか、価値観や基準はその人の中にあり、それがその人の決断、行動を決めてくるものでしょう。
インターネットにはすごい金額の投資をして成功されて、お金持ちになったような方々の世界が表現されているようですね。
不動産業者をしていて、不動産は「おもしろい」と思います。不動産はお金が動くところなので、人間についても知ることができるからです。
インターネットで不動産投資をして成功されている方々のお話の中には、長い目でみてどうなのか、まだこれからどうなるのか、という視点も添えながら、読まれると一層よくわかるところが出てくるかもしれないと思います。
インターネットで物件を探すことが一般的になってきました。インターネットでいいので、物件をいろいろ見ていると、なんとなくわかってくるところもあります。物件を見ていると、わかってきたところは、ご自身の勘所につながることでしょう。
他人の成功談より、ストレートに物件の情報に慣れていくことの方が、投資判断の精度をあげることにつながるのではないかと私は思っています。
(中には、読んで役に立つ内容を書かれている方もおられるでしょう。インターネットで出会う投資家の観点から学べることもあるとしても。)
皆さんは、いかが思われますか?
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美