カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2019.11.19
『化ける(ばける)物件』という言葉をよく聞きます。
皆さんは、『化ける(ばける)物件』はお好きですか?
私は、大ざっぱに言えば、化ける物件というのはこの世に存在しないと思っています。
存在したとしたら「お化け(おばけ)」みたいなものではないかと。
一つ言えるのは、安いと思う価格で売りに出ている物件に真に「化ける」物件は、あんまりないと思います。
あるいは、女性が「お化粧で化ける(ばける)」ようなもの?
お化粧を落として、すっぴんになったら、「あらら。別人?」ってこともありますよね。
男性だって。高級なスーツを着ているとどこかのCEOを名乗られてもそう見えるけど、それが全然そうじゃなくて。例えば、結婚詐欺師であることも。
CEOに化けた男性の姿。見掛けにコロッと騙されてしまうのが人間というもの。
「化ける」というのは、一時的に綺麗になったり、良く見えたり、いい物に思えたり、するものですが。
実際のところ年月が経つと、本来の「化ける前の姿」に。元通りになるものではないでしょうか。
年月経って、化ける前に戻らなければ、それは、本当の意味でいい物件だったと言えるのでしょう。そして、そういう物件は希少であるゆえに、実際のところ、そんなに安くは買えないものです。『化ける前』にしては高いので、旨みが少なく、あまり好まれない。難あり感も漂うような物件であることも。手をあげる人はそれほど多くなくて、それでも買った後『化けてくれた』ので、買って良かった損はなかった。そんなところではないかという気がするのです。
でも、化ける物件(化けそうな物件)を安く買えたと思っていざ手に入れてみると。安いには安いだけの理由があるものです。
入居者が入っていないアパート・マンションを綺麗に修繕して、苦労して入居者を集めて、それで満室にできたとしても。
数年経ち、少しまた古さが目立ってきた頃には、空室が目立ってきて。
入居者集めに元々苦労していた物件は、苦労して満室になったとしても、何となく、またポロポロと空室が出てきて、だんだん埋まらなくなる。
当然、元々が実力のある物件で、たまたま個別事情により、あるいは時期等により入居付けがうまくいっていなかったり、人気がないという場合もあります。しかし、そうした物件がある時満室になったり人気が高くなるのは、「化けた」のではなく、素が生きてきたということになるのではないでしょうか。
(レジャーホテル・ラブホテルなどでも)いずれまた、このあたり書くかもしれませんが、ひとまず置いておいて。
でも、やっぱり、「化ける」可能性が高い物件はそんなに安くはないです。
時代の流れもありますし、立地の問題もあるでしょう。物件というのは、良くも悪くも、+や-に、その物件が持っている実力みたいなものが浮き彫りになります。
一時的に「化けた」としても。どうなんでしょう。
化ける物件は儲けそうに思えても、ずっと持ち続けるには、ちょっと荷が重い物ではないでしょうか。
私は、「化ける」というキャッチコピー付で評価が高い物件は、いつか、元に戻ると思っています。とくに、価格が安いのが魅力のケースでは。
化ける物件は、一時的に化けることはあっても、化け続けることは難しいのではないでしょうか。化かし続けることとも言えるかも。
「(中長期にわたって)化ける(を継続できる)物件」はないとしても、「化かし続けられる間は、化ける物件」という限定であれば、俗に言う『化ける物件』はやはり有ると言えるのでしょうか。
皆さんは、『化ける物件』と『化けない物件』、どちらを勧められるとうれしいですか。また、どちらを選びますか。
おおむね、化ける物件の意味するところは、化けそうな物件を安く手に入れられたらいいな、ということでしょうか。
そういう意味で言えば、やはり「化ける」物件というのは、そんなに市場に出回らないと思うのです。少し高くても、買う人いるから・・・
化けても化けなくても、その物件は唯一です。だから、その物件は変わりません。そんな気がします。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美