リーマンショックとコロナショック。灯りが点る客室。新しい道を歩み始める人。

土地（古家付き）の残代金決済引渡しでした。

場所が良く、陽当りも良い土地です。建売業者さんが購入。解体して新築すれば、今の時期（一戸建が売れている）、多少高くても購入される一般のお客様はいることでしょう。戸建用地は動いています。また、アパート用地などに合致する土地も動いています。

ところで、リーマンションの頃、苦しみの中で法人等が所有する物件が売りに出ました。そうした物件（ビルなど）を購入しレジャーホテルに用途変更、お部屋や運営がお客様の支持を得て、１０年以上繁盛させてきたホテルであっても、今回のコロナショックにより、オーナーチェンジとなる物件があります。

ビジネスホテルばかりでなく、レジャーホテルもエリアによっては、売上の減少が大きいところがあります。リーマンショックの時に買いやすい価格で買えたとしても、工事にかかった投資を考えれば、お売りになる決断は身を切られるものがあったのではないかと思います。手をかけて育ててきたホテルですから、愛着もおありだったことでしょう。

場所が良ければ、コロナ収束後の売上が期待できること、そして土地の価値がしっかりしているので、コロナ禍でも二束三文ということにはなりません。この時期買える方は、よほど実績のあるところ、あるいは資金調達ができるところになりますので、買えるところは一握りです。

買われる方も、こういう時期（コロナ禍など）でなければ手に入らない念願の物件を取得できるわけです。ずっと探していた方で、ようやく希望の物件が買えたというケースもあるでしょう。レジャーホテルに限らず、ですが。

さて、リーマンショックで物件価格が落ち込んだ時いい場所で手頃な物件が出たから買った方もいれば、アベノミクスで物件が高い時期に買った方もいます。高い時期だからこそ売りに出る物件というのもあり、希少なエリアであるなどずっと探している方にとっては、これもまたチャンスなわけです。

高い時期といってもその後さらに上昇を続けることもありますので、ご自身で良いと判断される物件は、安くなるのを待っていても出てこないという考え方をされる方は、高い時期でも買われます。

コロナショックで、安くなったタイプの物件もありますが、高くなったタイプの物件もあります。

不動産「バブル」の状況と指摘されることもあるようですが、とくに法人の売主買主の間で水面下で取引される物件などは、土地の価値が上昇した分は強めの価格として反映されているとしても、現実的な取引であり、根拠の曖昧な価格では動いていないように思われます。

その物件を一番高く評価してくれる方、そして、かつ買える方にお売りになる。それらのバランスの中で、売主様は、大事な物件を手離されるものでしょう。

リーマンショックの時と異なり、コロナショックでは政府の強力なサポートにより金融機関は積極的に融資をし、返済が厳しくなったところに関しては金利のみの支払いに応じてくれるなど（リスケ）、かなり手厚かったと思います。もちろんその恩恵を受けられなかった法人もあります。また、十分ではなかったところもあるでしょう。

リーマンショックでは物件価格が下がったようには、コロナショックでは、おおむね不動産の価格の大きな値下げは見られませんでした。

コロナショックでは、競売になる前に任売（任意売却）で決着するケースを含めても、大きな値崩れはないようです。ただし、この時期、動きづらい種類の物件は、よほど場所がいいとか、コロナ収束後の期待が大きい物件でないと、塩漬けの様子です。

コロナ前、インバウンドに向けて新築でも、用途変更等でも、あらたに宿泊物件が増えました。次々にできて、数が多くなりすでに厳しいところもあったところに、コロナショックです。コロナ収束がいつになるのかによりますが、インバウンドが戻ってくるにはまだ時間がかかると言われています。

国内旅行でも埋められる観光地の中でも立地の良いところは、客室の窓に、このところある程度灯りが点いているのを見かけるようになりました。しかし、少し離れたり、名前が知られていないホテルなどは、厳しい状況が想像されます。

インバウンドで大賑わいだった、あるゲストハウス（簡易宿所）ですが、コロナウィルス感染症の影響により昨年から休業。インバウンドが戻るのを待つのではなく、居住用物件に工事を始めるようです。

すでに、新しい道を歩き始めた人たちがいるのを感じます。

カズシン株式会社

代表取締役　山内和美