カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2021.01.29
私は東京に住み、東京に職場があります。
したがって、自宅と職場の周辺のことでしたら、おおむねわかります。
しかし、その他のことはよくわかりません。
高校を卒業するまで地方に住んでいましたが、すでにその地を出て数十年、実家もなく行くこともないので、今のその地のことはもうわかりません。その地を出て、大阪・神戸に住み、東京に住み、幾度も引っ越しをしましたが、現在住んでいないところのことは、やはりもうわかりません。
私の記憶にあるそれらの地と、現在まさにあるかの地では、状況が変化しており、想像するとしても細かいところ、現実で言えば、間違いの方が多いのだろうと思っています。
不動産は、土地建物と言われます。土地は動きません。建物は土地に定着しており移動しないものと言えそうです。(トレーラーハウスなどは移動できるものとして販売されているようですが。)
土地勘がないところでも売買価格と物件に納得感があれば購入し、安く購入できた分、空室は家賃を下げることで埋めていくなど、鋭いやり方で上手に広い範囲で賃貸経営を成功されている方も中にはおられることと思います。
そうしたやり方で利益が出ている方もおられると思いますが、私自身は自分がわからないところのことは、やはりよくわかりません。
だからでしょうか、不動産の購入を検討されるならば、闇雲ではなくご自身がわかるエリアややり易い場所でご検討されるのがいいのではないかと思われるのです。
地方にお住まいの方であれば、やはりお住まいの場所からつながる範囲でお探しになれるようであれば、まずはその方がいいのではないかと思います。どの場所でも、というのは無理だと思いますが、その場所からつながる範囲の中で投資として適している立地や物件があるのであれば、そうした物件で一旦考えてみるといいかもしれないと思います。
今はもうその地方を離れてしまって長いのでしたら、今住んでいるところからつながる範囲で、物件をお探しになってみる。そういうふうに、自分が今いるところから周囲を見ていくという順番で、それでは投資に適した物件がないということでしたら、またその時に一歩進んで考えてみる、そういう順番でもやり方はあるかもしれないと思います。
過去に住んでいたところの物件情報が入ると、「知っている」「知っていた」という感覚になりますが、今現実にそこに住んでいる人でないのであれば、今住んでいる人と比べて、細かいところや相場観などで不利になりがちです。
買った後の管理や手間などのことも考えると、遠隔地での投資は、結果的にそうなったということはあるとしても、最初は近場の物件情報を精査されていくのもいいのではないでしょうか。
地方物件と東京などの物件は比較できないところがありますが、東京に住んでいない人であれば東京に限らず、いろいろな物件がありますので「わかるところ」の方が強みを生かしてやっていかれるかもしれません。
競合する物件が具体的に思い浮かぶというのは強みになるでしょう。家賃をあと3000円下げたら(1000円でも)入居者が入るとイメージできるのであれば、家賃設定の上手なオーナーさんになれます。
売却する時も、自分のわかるところにある物件であれば、相場観が身についているため、ちょっとした値動きも理解できるものです。持っている物件が遠隔地にある場合でも、仲介業者がしっかりしていれば、ちゃんと売れるでしょうが、売主様も相場はわかっておられた方が通常スムーズで納得感から言っても損だと思わない取引に結び付きやすいと思います。わかっているだけに、細かい指値幅にも敏感となり、かえって売る時売った後「損したかも」「売り急いでしまった」と考えてしまう面も無きにしも非ずでしょうが。
町の不動産屋さんに勤務していた頃、新築のマンションを購入しました。そのマンションは10年くらいして売ったのですが、ある不動産仲介会社さんに売却を委任しました。買い替え物件が決まっていたので、急ぎ気味だったのもあるのですが、多少安く売ってしまいました。たとえは違うかもしれませんが「医者の不養生」みたいなものだと思います。
仲介で受けた場合は、過去を思い返してみても、限界まで力を尽くしたという思いの方が強いです。
相場より高いことを言われるお客様が多いですが、稀にですがずっと低く思っているお客様もいました。いずれの場合も、相場の上限、早期の売却か粘り強くいけば、諸々ケースをお話します。そして、「お客様のために」がんばるという仲介人の努めを果たしてきたつもりでいます。
長く不動産に関わる仕事をしてきましたが、不動産業だからと言って、自分の物件を売るのが上手いとも限らず、どちらかと言えば少なくとも私の場合は、お客様の物件をお売りする方が上手いと思います。
そう言えば、母が住んでいたマンションを売って今のマンションに買い替えた時、元付業者・客付業者をしたのですが、売る時はいい価格で売り買う時は相場ではありましたが母がすぐに買うと即決した物件を紹介できました。
たとえ身内であっても、仲介として人(お客様)には喜んでいただける仕事ができるようです。
身内も身内でない一般のお客様も、いざ仕事になれば、私にとっては同じです。
同じですが、ご希望や売却理由など、いろいろわかった方がより的確にできるということはあります。
そういう意味で言えば、コミュニケーション力は仲介人にとって大切な素質になろうかと思います。
ある人に「コミュニケーション力が高い」と言っていただけたことがあります。
その頃ちょうど私が落ち込んでいた状況でしたのでありがたい感じで励みになる言葉でした。
「コミュニケーション力もあった方がいいですが、この仕事(仲介)で一番必要なのは、我慢できること」そう、私には言葉が浮かんできたのです。
我慢しなくてはいけない状況だったから一層そう感じていたとしても、「短気は損気」の経験を経て、これでも多少は、少しずつ「我慢」が身についてきている気がしています。
コミュニケーション力でうまくいく時もあれば、我慢なくしては実らない時もある。多くの仕事でそういう面はあると思います。不動産仲介の場合も、ベースにコミュニケーション力と我慢が求められる仕事だと思います。
「堪忍袋は破れたら縫え」という言葉を聞きますが、同業者も言っていました。本当にそうだと思います。「堪忍袋が破れたら縫う」それ以外に、方法はないようです。
皆さんはいかが思われますか。
お仕事でコミュニケーションや我慢は必要ですか。プライベートではいかがでしょうか。
私は、「短気は損気」にならないよう、我慢力を蓄積したいと思っています。とくにお仕事で。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美