カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2020.12.26
年の瀬です。慌ただしく日々が過ぎていきます。
来年どうなるのかわからないコロナ禍に置かれて不安な心持ちとなります。
さて、私ばかりではなく、皆さんも、不動産の市況が気になるところでしょうか。
・中古の区分ワンルームマンション(東京)の売り物件について
エリアや物件によるのですが、売主の考えや状況によって、バラつき感が出てきたようです。
投資用中古区分マンションは価格が全般的に下がらず推移していた印象でしたが、このところ、早期売却を確定させようと指値に快く応じたり、売り出し価格を下げて利回りをあげたりする動きが出てきているように見られます。
コロナ禍が長引きそうな様子で、長期戦も辞さずで利幅を大きくとろうとするよりも、短期的に利益確定して「ほっ」としたいという意識の表れでしょうか。
先行き不透明感で、不動産の市況もじわじわと影響が出てきているように感じます。
コロナ禍以前、商業地の用地がホテル建設用地等として高値が付いていたところ、コロナショックによってホテル用地として動かなくなった代わりに、レジデンス(分譲マンション)用地で買われているようです。以前であればレジデンスでは買えなかったような商業地のいい土地が少し下がってきて指値がきくなど、レジデンス建設で買える場合も出てきたと聞きます。
コロナ禍、商業ビルの苦戦が続く中、実需向け住宅はよく動いているようです。生活の基盤である住まいは底堅いのだと思われます。
・タワーマンションについて
タワーマンションは元々、狭い面積の土地に高く建てることで戸数がたくさんとれる。土地の価値を求めるのではなく、建物の綺麗さや見晴らし(眺望)などを楽しめることがメリットだったようです。土地の割り当てが小さい分一戸あたりの価格も抑えられる。したがって、このくらいの価格で買えるなら「自分たちも買ってみたいな」という需要をみていたようなのです。
しかし、タワーマンションにプレミアムが付くようになり、新築で手に入れておけば、その後中古価格が上昇し売却益が狙える、というストーリーができてきました。
コロナウィルスに脅かされる以前、中国人投資家等の爆買いがありましたが、これからもタワーマンションは外国人投資家に買われていくのでしょうか。すでにたくさん建っていますので、選別されるのではないかと思います。外国人投資家の方がよく知っているブランド力のあるエリアや物件かどうかが分かれ目になるのではないかと思います。
中国人投資家は、日本人とは異なった物件の価値観を持っているように思います。その価値観と合致する物件であれば、日本人が買わない(買えない)高い価格でも買うように思いますが、価値観に合わない物件であればたとえ安くても手を出さない気がします。
私は、不動産の売買仲介が中心で長いので、物件の売却を依頼されると「この(どういう)物件はどういう(この)人が買うのか」というのがまず頭にあがります。当てずっぽうで物件の売却活動をすることはありません。では、どのようにして、買主の目星を付けるのかと言えば、「勘と経験」という言葉での表現にならざるを得ません。それが良いのかわるいのかわかりませんが、勘は当てずっぽうでは働かないので、経験によって一通り整理がされているのでしょうか。
不動産売買仲介の現場では、お売りになる方もお買いになる方も、成約してみると「確かにこれ以上のマッチングはなかった」という思いになります。唯一の物件をたったお一人(一つの会社)のみが手に入れる。成約するには理由はあります。
マッチングの精度が高まると、成約率が高まります。
いろいろな物件があります。それぞれ、物件自体やその物件の種類にはいい面と難しい面があると思います。
買う方が望む物件はそれぞれですが、その方の価値観に合う、その方に向いているものを志向されているのだと思います。
私は個人的な意見として、東京の中古の区分ワンルームマンションは手間暇がかからない割に安定している、その分当然利回りもほどほど、そう考えています。サラリーマン大家さん向け、個人が買う物件、と言われてきましたが(今も言われており、私もそう思っています)、不動産投資としてみた時に、余計な気苦労も少ない、労力も使わないですむ、そういう物件は、買い方にもよりますがリスクが少なく持っていてもいい気がします。
「うまみがない」物件、「おもしろそうな」物件という表現があります。うまみがなくておもしろくもない物件が東京の中古区分ワンルームマンション投資だとすると、もっとうまみがあって、おもしろそうな物件の方を好まれる方は多いでしょう。
買う方の経験や資金力や本業、考え方、価値観などによって、どういう物件が合うかは異なってきます。
合う物件がいいのだと思います。
東京の中古の区分ワンルームマンションは、労力もかけないのだからそんなに儲からないけどそれでいい、という方向けの物件だと思います。自分の時間を使って労力を費やしてでも儲けを大きくしたい方には向きません。
ところで、ラブホテル(レジャーホテル・ファッションホテル)は、単に投資で儲かるというよりも、労力をかけて儲けていこうとする物件です。
労力をかけさえすれば儲かるということもなく、物件選びは重要です。
エリア、立地、道路付け、駐車場、動線、部屋の広さ等々、売上があがるホテルには理由があります。売上があがるホテルが一時的、明確な理由があって、売上減少となっているのであれば、買う方によって戻せます。
一般的にはプロであっても戻せない物件でも、そういうエリアや物件に卓越しているプロも中には一部いますので、そういう方であれば、厳しい物件であっても、何とかやっていかれます。
そうは言っても取得価格次第のところはありますが、プロはぎりぎりの値付け感を身につけており、大体(だいたい)はずさないものです。
高く買いたい方はいないのですが、安く売りたい方もいないので、結局、それでも一番高く買うところへ大体物件は行き着くものです。
10年くらい(以上)前から、中国人の方がラブホテルを買っている話を聞くようになりました。
運営は外注しても、収益力のあるラブホテルを買えば他の一般の物件よりはそれでもまだ利益がとれる、という傾向があるからでしょうか。今も探している方の話を聞きます。
日本の方だと買い控える(市況の不安感で見送る。融資環境等から買いたくても買えない)ような時期こそ、外国人投資家にとっては、好機となるケースもあるのでしょう。そういう時に多少物件が高くても(もちろん安い方がいいでしょうし、安い時期を狙っていくということもあるのでしょうが)入手しておけば、「やっぱり買っておいて良かった」ということはあるのでしょう。
また、ラブホテルは、東京の繁華街、風俗街等に位置している物もありますが、ロードサイドや高速、地方の駅前、地方の国道沿い等、諸々の立地があります。
コロナウィルスの影響で、東京の繁華街、風俗街等のラブホテルは売上減少傾向が強めに出ているようですが、繁華街や風俗街等でない立地ではそれほど減少していないところもあると聞きます。
私は住んでいるのが東京、弊社も東京です。そのため、取り扱う物件も中心は東京(埼玉、神奈川他)の物となります。したがって東京やその周辺の状況以外は十分に知りません。
東京等ばかりではなく、ラブホテルは地方においても(もちろん立地によりますが)収益力がある物はあります。お住まいや会社が地方のいずれかの場所で、その近くで物件を購入したいという方もおられることでしょう。
とくにご自分で運営されるのであれば、マーケットがわかるエリアで物件を選定されるといいと思います。
お近くに、いくつかのホテルエリアがあるならば、成り立ちを想像されるのも無駄にはならないかもしれません。
ホテルが建ってきた順番というのもあります。一時期良かったホテルエリアと今いいホテルエリアが逆転しているということもあります。
どうしてそうなったのか、なぜそうなるのか、想像してみると、将来予測がふっと思い付いたりするものでしょう。
・マンションに関して
駅近のマンション、少し歩くマンション、かなり歩くマンション。同じ駅にあるマンションでも分かれます。
古いマンションは駅近にある印象があります。新しいマンションが駅近にあることもありますが、駅近で建てる場所がなくなるごとに、新しいマンションが駅から離れて建ったというのが大まかな流れになりそうです。
中古マンションを買う場合、駅近のマンションは古いですが、築浅のマンションは歩く。いずれにも良い面と良くない面があります。
だから、ご自分の好みに合う物件がいいのだと思います。
もちろん一概には言えません。敷地が大きくないマンションであれば新築を駅近でよく見るように思います。再開発で駅前に大型マンションが建つこともあります。
駅近の新しいマンション、築古の駅から遠いマンションもあります。
私自身は、どちらかと言えば、駅近、立地重視の価値観を持っています。
皆さんは、どのような価値観をお持ちですか。
住んでいるところも仕事の場所も、今までの経験もお仕事も、いろいろ違うのですから、価値観も違うことでしょう。
不動産の好みは人それぞれです。
・不動産の市況について
同業者(東京)の中には、物件は相変わらず「よく動いている」という人もいれば、「全く動かない」「動かなくなった」という人もいます。
どのような場所で、どのような種類の物件を取り扱い、どのような買主様がお客様なのかなどによって、人の実感は異なるものです。
私は、自分が思うところを書いています。全然、私のブログ、当てはまらない方もいると思います。それが当たり前なのだと思います。
どなたかにたまたま、お役に立つところが1つでもあれば、と思って。
来年もブログを続けてみようと思います。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美