カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2020.12.06
『人の褌で相撲を取る』と言われる「不動産業(不動産仲介)」ですが、どうして、このようなことを言われるのか、考えてみました。
自分の物(土地建物・物件)でないので、「うまく儲けることができればそれで良い」という発想で、いい加減な情報を無責任に流したり売り情報をあちこち持ち歩いては、迷惑をかける業者がいることなどから、一つには言われてきたのではないかと、想像します。
(本来の意味は違うのかもしれませんが。)
残念ですが、そういう不動産業者はいると思われます。
『信義誠実の原則(信義則)』に基づいて、不動産業者は業務を行わなければなりません。
不動産業者が守らなければならない『信義則』というものがあるはずです。
したがって、『信義誠実の原則』から外れたことを業務において行えば、「信義則違反」ではないかとなるわけですが。具体的に何をしたらというのがルールとして明確でないからなのか、ルール云々以前に、普通に考えればわかるでしょう、が、通じないのか通じていないふりをしているのか。
何をしてもいいわけなどありませんが、明確に禁止されていないことに関しては、拡大解釈、都合の良い自分本位な解釈が横行する。
いまだに、そうした問題が付いて回るのが不動産業界の現状かもしれません。
どうして、そのようないい加減なことをして平気なのかと言えば、他人の物(物件)、すなわち「人の褌」のようなものと考えて、その物件、人の物、他人がどうなろうと、自分は痛くもかゆくもない、という感覚があるためではないかと思います。
ただし、一定の不動産業者(残念ですが限定されそうです)は、物件に責任を感じています。
売主様、買主様にとって非常に大事な取引です。仲介にとっても大事な取引。考え抜いて、取引を進めています。もちろん、私も(当社も)そうです。
しかし、そうでない不動産業者がいると、世間の方々は感じているのでしょう。
そして、不動産業界に25年近く身を置いている私も、否定することができません。
『かぼちゃの馬車』(シェアハウス)の件ほかで、不動産業界に、わるい業者が大勢いたことが問題となりました。
書き上げ、二重契約の存在なども明らかになりました。
『三為』(さんため・『第三者のためにする契約』)業者も問題になりました。
三為業者を売主とし、一般の購入者(最終の買主)の間を結ぶ仲介をしていた業者もいます。
ところで、例外的に、不動産業者であっても三為で買うことはあります。そのまま業者が保有することもあります。
自分が業者としてであれば三為であろうが自分の判断と自己責任で購入する分にはいいですが、判断が付いていない一般の方の場合は、そういうわけにはいかないでしょう。
一般の売主と一般の買主の間で、(安く買ってそのまま高く売る)三為契約で利益を得る不動産業者、三為に関わり報酬を得る不動産仲介業者がいました。
(三為契約のつもりではなくて、決済前に話が入り早期に買主が付いたといった場合もあるようですが。)
自己で代金の決済をしないで利益を得るのですから、これも「人の褌で相撲を取る」と言えるのでしょうか。
三為契約の仲介をしていた業者も、人の褌で相撲を取ったようなものなのでしょうか。
不動産業者は「口利き屋」と言われてきましたが、『三為』に関して言えば、高度な口利きや専門的な能力が必要というよりも。
あえて言えば、「するか、しないか」の世界だと思います。
儲かるから「する」のか。儲かるとしても「しない」のか。
踏み込んでいく世界なのか、近づかないで本来の不動産業、仲介業に専念するのか。
楽して儲ける、楽して儲かる、ということは、不動産業者にとっても毒だと思います。
一般の方が楽して儲かるらしいと聞いたり、思い込んで、不動産投資を始めて、実際はそうでなかったと気づくように。
不動産業者も、楽をしようと思ったら、回りまわって、痛い目に遭うものだと思います。
かと言って、ひたすら苦労を探し回って苦難を背負えばいいかと言えば、それで成功するということもないでしょう。
不動産業では、筋を通すことが大事な場面があります。
大事な場面で筋を通すためには、自ら信義則を念頭において、信義則を常に逸脱しないよう気をつける必要があるでしょう。
信義誠実の原則(信義則)に基づいて業務を行える不動産業者であれば、「人の褌」であっても、「他人様の物件」であっても、自分の物、自分のこととして考えるから、おかしなことはしないのではないでしょうか。
不動産業者の嘘を見抜きたい時には、その業者は、自分の事のように考えて物件を扱っているか、売主様や買主様の立場になって業務を行っているか、わかることができればいいでしょう。
具体的にどうすれば、それが分かるかと言えば。言っていることとやっていることが同じか、違っているか、見ればいいと思います。
口はいろいろ上手に嘘をつきますが、やっていることは正直です。
言ったことをその通りやっているのか、言った通りの書面が出てくるのか、前に聞いたことと今聞いていることが同じなのか違うのか。
口と行動が違っていたら、安易に契約や決済をせず、手間でも言いにくくても、流さずに流されずに、はっきりさせることが望ましいと思います。
口うるさい人と思われても、済んだ話になる前に。
済んだこと(契約、決済等)を元に戻すのは難しいです。大きなお金が動いた後、何かあっても取り返すのは容易ではないと腹を括っておかれた方がいいでしょう。
また、確認を受けて、面倒がるような不動産業者であれば、疑惑は一層強まります。
私ども不動産業者は、「確認」が大変重要です。常に「確認」と言ってもいい仕事です。
私たちは、言いにくくても「確認」する癖を付けなくては務まりません。
私たちがした質問に返答を返さない場合、「何か」あると気づきます。
業者間で言えば、こちらの業務上の質問(確認)に返答を返さない(ごまかす、無視する)業者には、「何か」あると考えます。
不動産業者にもいろいろいます。
皆さんがお付き合いしている業者さんは、どのような方ですか?
一般の方がお付き合いする業者さんは、まずは、信用できるところに限った方がいいと思います。
自分の褌を貸して相撲で勝ってくれる、物件を預けてしっかりやってくれると思える不動産業者(仲介業者)に、委託されるのが安全でしょう。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美