カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2020.01.20
母のところに、亡くなった祖父が大正時代の売買により、6人(祖父を入れて)共有名義(他人同士)で所有(登記)した土地について、法務局からお知らせ
『登記所備付地図作成作業に関する説明会の御案内』が母の住所に届きました。
母自身、どこの土地のことか思い当たるところがなくて、私にきいてきました。母に心当たりがないのですから、私にはもっとわかりません。
法務局へ電話をして問い合わせしました。
地番をおしえてもらって、地図(公図)をとってみると、およその検討がつきました。母に推測を話しますと、「そう言えば」ということで合致しました。
祖父の死後、登記していないまま、長い時間が流れてきたのでした。
私もその町を出て、長い年月が経ちました。高校を卒業してからこの地との縁は薄くなり、今ではすっかり昔の話になってしまいました。
法務局からの「お知らせ」を見て、記憶にほとんどないのですが祖父のことを思い出しました。
私の記憶にある祖父は、祖父の生きた姿ではなく、かといって死んだ姿でもありません。祖父のお葬式の時に泣いている母の姿です。
幼かった私の一番最初の記憶なのかもしれません。
祖父に可愛がられて育ってきた母にとって、祖父の早すぎる死は心をかきむしられる悲しい出来事だったことでしょう。
母親が大声あげて泣いている姿というのは、私の心に何を残したのでしょうか。
祖母が亡くなった時にも母は泣きました。普段つらいと思えるような感情を表に出すことの少なかった母だったので、余計にこれら2つの出来事に際しての母の姿は私の記憶に残りました。
親の死に際して、大人という年齢になった人たちも、かつての子供の時に戻ったように感情が止まらず「泣き叫ぶ」瞬間を経験するものなのでしょう。
『命の次に大事なお金』そのお金を我が子のために使い、我が子のためになら自分が無一文になろうとも差し出せる、そういう親がいます。
お金を渡す、お金を残す、ということには、それほど大きな親の愛があってのことでしょう。
お金を渡したり、お金を残したりしたがために、結果的に子にとって良くなかったということが起こることもあるでしょうが。いずれにせよ、『命の次に大事なお金』を差し出す行為は、命の次に大事な人のためでなくてはできないことです。
命の次に大事な人が大変な目、危険な目にあっていると思えば、有るお金は全部かき集めて、差し出す親はいることでしょう。
子のことを思えばこそ甘やかさないという方針があったとしても、子を思えば、方針よりも先に行動してしまう、そんな場面もあることでしょう。
『オレオレ詐欺』で騙されるお年寄りは、子を思う、可愛い子の大事な子供(孫)を思う「親」なのでしょう。
子を思うがために、騙されて「命の次に大事なお金」をわるいやつらに差し出してしまう。騙されたと知った時の苦渋はどれほど大きなものでしょう。
騙す人がわるいのです。だから、「騙す人などと関わらないことだ」と、もちろんわかっているものの・・・。
でも、だからこそ、ついうっかり、騙されてしまうのが人間というものなのかもしれません。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美