カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2021.11.05
東京の人気エリアの一つに事務所(宅地建物取引業)のある同業者の近況を尋ねたところ、その場所でこのところ「物件は一杯出てきている」そうです。(『一杯』と言っても、いつもよりは多い(増えている)感じ、というような意味合いでしょう。)
物件の例で言えば、ソシアルビルやテナントがほとんど退去して空室ばかりになってしまったビルなど。
たとえば飲食店の入っているソシアルビルなどの売り物件で中には、これは「安い」(手頃になっている)と思うものも出ているようです。ただし、そうした物件は決まりがとても早くて、客付けしようと思った途端に終わっているそうです。
古いビルでも、現状の建物を生かしてテナントを埋めるやり方、建物解体してしまう場合と、購入後の形はそれぞれであっても。とくに、コロナ禍であるからこの価格で市場に出てきたような物件(他と比べると少し安い、手頃、割安な感じの物件)は、すぐに買い手の手があがり終わってしまうようです。
そして地上げの種地になるようなところは、地上げ屋さんの話が先行しておりすぐに決まってしまうとか。
物件ごとに事情が異なり、売主様のお考えや状況も異なるとなれば、売り切る方針で出てきた物件は、スピード勝負。情報がいかに早く入ったかが、買えるか買えないかの分かれ道にもなると言えそうです。
不動産には同じ物件は二つは無いので、誰かが買えば、他の誰かはどれほどその物件が欲しかったとしても遅かったとなるわけです。たった一つの物件を誰が手に入れるかの戦いが、水面下で繰り広げられているとして。勝ち取れる人、企業、不動産業者は運が良かったのかもしれませんが、いい情報が早いうちに入ってくるということは、それだけの理由があるものです。
誰かがその物件を手に入れることになるのは、偶然のように見えても、理由があるものです。
ほしい物件が手に入ればラッキーですが、手に入らなくても当たり前。なぜなら、自分がほしい物件は他人もほしいことが多いですし、その物件は一つしかないからです。
コロナ禍で苦境にある物件は、慣れたところは「この時期だからこそ」積極的に買いに入るとしても、いろいろ考える人にとっては、もう少し価格が安くなれば、あるいは、もう少し待てば、と思うこともあるはずです。そういう考えの一方で、買うところは、「この価格なら」「今の時期だからこそ」という思いをもって買う。今の時期買っているところは、今は見送るところもある状況で、買っているのかもしれません。
情報は「買う」ところへ流れます。
いい物件を買おうと思えば、買っている人、買う人と見られていることは有利でしょう。実績があったり、買うと見られていれば、情報が持ち込まれることがあるでしょう。ただし、何でも情報を持ってこられても困る面もあると思います。そういう場合は、何らか「基準」を伝えておくといいのではないでしょうか。そうしておけば、断る時にも断りやすいですし、検討対象にならない物件が持ち込まれる回数を減らせるかもしれません。
コロナ禍であっても、手頃に思える物件は競争になっています。そうした競争に参加する必要があるのかないのかは個々の考えによるのでしょうが、競争に勝つためには、取引条件に条件を付けると買えなくなることがあります。そうは言っても、丸のみで買うには抵抗がある方もおられるでしょう。売主様の考え方やどれほど欲しい物件かにもよりますが、また後悔しないよう冷静にいく必要はありますが、手に入れるためには本気でがんばらないといけない場合が多いでしょう。
コロナ禍、がんばって買う人もいれば、見送る人もいるでしょう。どちらがいいのかはその人がどう思うかによるのだと思います。
今年は、見えるようでよく見えない動き(不動産)が起こっている年だと思います。がんばって買っておけばいい物件は、こうした流れの中で、出ていると思います。今の時期だからこその動きの中で、出会える場所、物件もあるのではないでしょうか。ただし、いい場所のいい物件は、もともとが高い価格であり、規模もありますので、金額は大きくなりがちです。買える人は一部に限られるのだと思います。さらに一部の買う人たちによって活気がある市場と言えるのでしょうか。
飲食店が通常営業に戻り、先行きが期待できるところもあるでしょう。撤退、廃業の流れもあるのでしょう。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美