カズシン・ブログ

カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。

距離。時間と空間。コロナ禍において

2021.08.29

コロナウィルスのことがあり「密を避けて」「2m開けて」など、距離が言われるようになりました。一部はその影響もあってか、このところ私の中で『距離』という意識が一層身近に根付いてきた気がいたします。

危ないものに近づかない、危険を察知したら逃げる、どこまで近づいてしまったら危ないのか、どのくらいの距離で気づけば危険を免れるのか、そういう視点が必要なのだと思います。

 

わるい人に追いかけられることになった時、走って逃げることになるでしょう。その相手との間に何メートル以上の差を付けられれば、相手は諦めてくれる、そういう数字があるようです。近づきすぎてから逃げるのでは遅いわけです。距離が近いと手が届いてしまうのでつかまってしまう。これ以上追いかけても追いつけないと向こうが諦めてくれるだけの距離がたすかるために必要であり、明暗をわけることになるようです。

 

『距離』を意識してみると、何事においても、どのような状況においても、距離の意味はとてもよくできていると思います。

そして、測るという作業で見えてくるものもあります。多くの人はおそらく、物と自分との距離、物と物との距離、人と自分との距離など、あらゆるものを目分量でも測っているのでしょう。そのことで、自分がどこにいるのかわかってくるものでしょう。

短い距離だけではなく、長い距離も感覚で測ります。目の前の物を座ったまま取るか立ち上がって取るかで迷ったりの日常がある一方、地球儀でアフガニスタンの位置を確認し残された人々の不安を感じ取ります。

 

『距離』がわかれば、到達するまでの時間や、到達できそうか否かもわかります。「距離感」という言葉がありますが、世渡りの術としても、自分らしい人生を生きるためにも、重宝される感覚なのでしょう。

 

さて、不動産においても、距離への関心は高いです。

最寄駅までの距離、バス停までの距離、病院までの距離、学校までの距離、スーパーまでの距離、公園までの距離、嫌悪施設との距離、河川が近くにないか等々。物件を評価する際、距離は重視されます。

利便性より自然豊かな場所がいいという人もいますので、どちらがいいということにはなりませんが、自分のライフスタイルに応じて、ものとの距離で物件を選択することになります。

距離で物件を選べば、自分の周りに広がる空間には傾向があり、都会派、自然派などにも大きな括りでは分かれることになるでしょう。

住まいは職場まで近いのがいいと考える人もいれば、職場までは遠くてもいいので家庭菜園を楽しめる一軒家で暮らしたいという人もいます。

不動産投資についても、東京の物件限定の人もいれば、地方物件に投資する人もいます。海外の物件に投資する人もいます。投資するエリアは異なっても、しっくりくる「距離感」の物件に投資しているのでしょう。

 

ところで、距離のことを考えると、空間について考えることになります。

空間を思うと、時間が付いて回ります。

 

時間を思うと、意識と無意識について考えたくなります。

意識している時も、無意識の時も、時間があるわけでしょう。

意識している時に無意識が並行して現れたり、無意識の時に意識が生じ無意識を観察、あるいは意識と無意識が互いに観察し合うような関係が起こることもあるのかもしれません。

そうなると、意識の時間と無意識の時間は並行していたとしても、同一ではない気がします。

「パラレルワールド」という言葉がありますが、人の時間にもパラレルワールドがあるとすれば、無意識の時間は無意識に付随するものであり、意識の時間は意識に付随し、別々のものと言えるのではないでしょうか。

意識と無意識が並行しているとすれば、二つの異なる時間が並行している。時間はそれぞれのものに内包されており、同一のものではない。

以前、このブログで「建物を見ていて、時間はその建物の中にあると感じた」といった内容を書きました。

その時の感じに非常に近い感覚ですが、時間はその空間(あるいは、「もの」「距離」など)にくっ付いていて、それぞれの時間がある、と思うのです。

空間があちこちにあるのであればたくさんの時間がある気がします。「空間が先か時間が先か」の観点は置いておいて、時間が空間にくっ付いて(あるいは内包して)いる感覚は強まっています。

だからでしょうか。死ぬ時、私にくっ付いていた時間、あるいは私が内包していた時間も終わるのだろうと感じています。

終わりがあるという意識があるからこそ、人は、この生をよりよいものにしようと考えるのではないでしょうか。

コロナ禍、これからどう生きていくのか、自分に問いかけるきっかけになっている気がいたします。

個人も企業も、先行きの不安で心が押しつぶされそうになりながら、耐えています。見えなかったものが見えてきたり、価値観が変容するのは、こうした時でしょう。

 

カズシン株式会社

代表取締役 山内和美