カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2021.02.03
競売で古い区分ワンルームマンションの入札をしました。
結果として、弊社の入札価格より80~90万円高い金額で個人の方が落札されました。
今回の競売の物件(区分ワンルーム)は、弊社で同じマンションを2室保有しており、その部屋の隣になります。
正確に言えば、隣とその隣が弊社の保有であり、今回の競売物件を入手すれば、部屋が3つ並ぶことになったわけです。入札できなかったので、実現はしませんでした。
入札の動機は、管理の手間なども楽で、物件の環境などもよく知っているので闇雲ともならないので、いいかな、と思ったからです。
そういう条件がなければ、おそらく入札しなかったと思います。
競売は高くなっていると聞きます。市場で普通に買ったのと変わらないか、安全な分普通に買った方がいいと考えるところもありますので隣でなければ見送ったと思います。しかし、たまたま隣だったので入札してみた次第です。
競売の三点セット(BIT)を見ると、室内の使用状況がよくなくて、リフォーム代が相当程度かかる物件でした。工事業者さんに概算見積りを出していただいたのですが、写真パッと見たところよりは大きな金額になりそうでした。
工事業者さんも内見できないので実際見てみないと何とも言えないところがあり、不明の分安全を見て、金額が大きくなったところもあるのだろうと思います。後で詰めていけば落ち着くところに落ち着くとも考えましたが、予期せずもっとかかる可能性もないわけではないので、小さく見積ることもできません。
そして入札した結果、弊社の入れた数字では落札できず。
弊社は買取転売で考えていないので、価格は一般の方が入れられる数字と変わらないくらい、少なくとも不動産業者の中であれば上限だと思います。
今回の入札者の方は、工事費用を詰められる知識や技術など、弊社が入れた数字を上回る価格の分が補えるノウハウなど何か有利になる強みがあったのかもしれないと。想像ですがそのようにも考えられます。
高くても買えるには理由があります。理由がなくて高く買う方もゼロではないかもしれませんが、大事なお金のことですから無闇矢鱈(むやみやたら)で買う方はまずおられないでしょう。
今は競売情報がインターネット(BIT)で見えます。(※お名前の部分はネットでは公開されていません。)
ネットで見れない頃は、裁判所に行って閲覧しました。
一般の物件でも、競売物件でも、インターネットで検索していて、「これはいいぞ!」と思う物は案外少ないですが、基準を定めると、いくらか(いくらでも?)「いい」物が見つかると言えば極端でしょうか。
それとも、ネットの世界にはそれほど「いい」物はないのでしょうか。
どちらの事例もあると思います。
傾向として言えば、基準が見えてくれば、時々であればいい物(自分にとって)が見つかるかもしれません。
その物件ではやはり希望に満たないケースももちろん多いのでしょう。
私自身は、インターネットで検索して物件を探すということは日常でも業務でもほとんどしません。
ただし、必要な時や、たまに現状把握のため、ネットで検索してみることはあります。
検索しても「いいな」と思う物件は、まず、あまりないです。長い期間で見ていけばおそらくいくつかあると思います。
不動産業者の場合、レインズ(不動産業者間の物件情報サイト)や知り合いの不動産業者からの情報、直接顧客からの情報などが中心になるでしょうか。
私はホテル物件の仲介が中心ですので、一般の収益物件の情報について言えば、一般の収益物件(ホテルではなく)専門の仲介業者さんの方が集めたり持っていたりします。時々内々も含めて情報はきますが、「これはいいな」というのは多くはなくて少ない気がします。もっと積極的に動けば、少し状況は異なってくるかもしれませんが、現在はホテルの情報の方が強いと思います。
ホテルだっていい情報は多いとは言えず、やはり物件は簡単にはいきませんね。
レインズや知り合いの不動産業者からの物件情報がとくにいいのかと言えば、そんなこともなくて、不動産業は「千三つ」と言われ、物になる(仕事になる)情報は千に三つしかないと考えれば、納得します。(他に千に三つしか本当のことを言わない、千に三つしか本当の話がない。など諸説聞きます。不動産屋は「千三つ屋」とも呼ばれています。)
ところで、サラリーマン大家さんを食い物にする不動産業者がいるとかいないとか、いろいろ言われているようですが、それでは、不動産業者が不動産業者を食い物にする、「騙す」みたいな話はあるのでしょうか。
たとえば情弱とか、気弱、お人好しの不動産業者が悪意ある業者に騙されるみたいなこと。20年以上不動産業界にいますが、私見としては、「ある」ような、「なくもないかも」という気がします。
ただし、不動産業者であるならば、仮に他社(不動産業者)に「騙された」とかそう思えるようなことがあったとしても、一般の方と同じような保護を受けられることは少なく(そういう契約にもなっていない場合が多いでしょう)、同情されるようなこともないと思います。
私の場合は不動産の仕事を続けてきたからもあるのでしょうか、かえって「おもしろい」とか「化ける」というような物件より、普通の物件の中にいいものがあるような気がしています。
数年前、中古の区分マンションで利回りの良い物件情報がありました。現地確認に行きました。
物件としては風俗の待機所。だからだめというわけではないです。とは言え、共用部分に待機所としての使用を禁止する旨の張り紙が掲示されていました。
利回りが高い理由はわかりました。利回りよりもトラブル回避、またいつまでその利回りが見込めるのかも定かとも言えず、現地で掲示板を見たことで購入は見送りました。
この時の仲介業者さんが何かわるいわけでもないにしても、物件には表面と、動いてみてわかることもあります。
物件を見る機会は一般の方より多かったと思います。不動産の仕事ですから、職業柄、物件を見る機会に恵まれました。「ここはいいけど、その点がだめ」で「価格がこのくらい」で、それが「いい」のか「わるい」のか。いずれの物件も完璧なものはないので、長所と欠点があります。物件を見ると(現地へ行かず情報にさっと目を通すだけの場合も多く、そういう場合も含めての)、昔は、「伸びしろ」や「化けるかも」とか、そういうところに目が行きがちのところあったように思い起こされます。
しかし、売りに出て買われた物件が数年したらまた売りに出たりする事例が割とあって、長所と短所を合計すると、伸びしろや化けるということは一時的にはあっても時間が経過すると元に戻る物件も少なくない、一つの例ですが、そんな感じを持つようになってしまいました。
そのため、普通の物件、一般的な物件、「妥当な価格」みたいな、不動産投資の世界におられる方から見ればおそらく面白みのない見方をする癖が付いてきている気がします。
(レジャーホテル・ラブホテル物件は一般的な物件ではないですが、日銭が入る営業物件ですのでまた異なります。)
普通の物件を常識的に買って不動産投資で成功するのかどうなのか、様々な意見があると思いますが、不動産投資の良い点は、私は手間をかけなくていい点だと考えています。
手間をかけた方が収益があがる、手残りが増えるというケースもあるのでしょうが、時間をとられたり労力を投入したりすると、その分他のこと(本業など)ができなくなったり、時間がなくなったりして本末転倒もあり得ます。
私は不動産業者ではありますが、買取転売と言われる仕事の分野でもなく、不動産投資業のような世界にいるわけでもありません。
不動産仲介業が中心のため、仲介業務に制限がかからないよう、仲介に注力するように努めています。電話に出れるようにとか小さなことですが、そういう意識が続いています。お客様から確認されたら迅速に回答する、わからなければすぐに調べる、連絡事項はできるだけ早く伝える、そういうことが仲介をスムーズに進めていくために必要になります。
他社のことはわかりませんが、私はそう思って今までやってきています。だからベースとして自由に使える時間が必要です。
とくに案件(物件)が難しい場合は、かかりきりになったり、張り付いたりします。少なくとも意識としては。
寝ていても夢で見ています。夢から覚めると、解決策が見つかったような気になることもあります。
夢を見ないでぐっすり眠る方がいいのでしょうが、いつからか、夢で案件(物件)をがんばっていたりするようになりました。夢の中でも仕事をして、その成果として一歩、成約に近づいているような感じです。
要領の良い方であれば、こんなことはないのでしょうが。私には昔から要領がわるいところがありますので、この年齢になってこんなことがあります。
皆さんは、夢を見ますか。
要領はいい方ですか。わるい方ですか。
緊急事態宣言の延長が決まりました。平常心を維持しながら、春を待ちたいです。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美