カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2021.01.16
駅から近い物件で、土地坪が小さい物件がありますが、どのようにお考えになりますか。
小さいといっても小さ目から狭小と範囲があり一括り一概に言えないところですが、一般的にはあまり小さな土地では上物を建てても活用の仕方に限度があり、投資としては、どうなのでしょうか。
少なくとも見方が分かれるところになりそうです。
土地を買って新築するにしても、すでに建物が建っており土地建物で購入するとしても、小さな土地が生み出す収益は、適した土地坪のある土地などから生み出される収益性には乗らず、個人的には、あまり小さな土地の物件は難しいところがあるのではないかと私は個人的に、考えています。
ペンシルビル、小さな土地の2階建住宅、三角地の狭小店舗等。様々な物件があり、小さくても人によっては住むのに十分であったり、期待を裏切らない収益を生み出しているものも中にはあるとしても。用途地域によって、建てられる物の大きさも変わってきますが、本来求められる土地の坪数があった方がバランスが良いと思います。
とは言っても、立地の良い駅で駅近物件を探す中、手頃な価格だなと感じる物件は、おおむね土地が小さいのではないでしょうか。狭小ほどではなく、小さ目くらいであれば、普通と変わらないケースも出てくるでしょうか。用途地域や、物件の種類、何に使うかなどにもよります。
ただし、小さ目が狭小に近づけば近づくほど、物件に無理が生じてくるような気がします。
住居として住むにも、収益を得るにも、貸すにも、やはり適度な土地の大きさがある方が望ましい気がするのです。
半面、駅から遠くなると、土地の大きさが小さくない物件で手頃な価格帯のものが見つかるようになります。
私は、基本的に駅近物件の方がいいと思っています。そうはそうなのですが、立地の良い駅の駅近物件は利回りや価格の面から損得勘定をはじくと、買える(買いたい)人は限られてきます。
物件の中には駅から多少歩く物件でも賃貸需要がある物件があり、そうした物件は価格次第では無理がない買い方ができるのであれば、考え方や物の見方によるのでしょうが、立地や物件によってはわるくないと思います。
駅の近くでなくても、周辺環境から見ても長期的に住む人の需要があり、その需要に合わせて建物を建てているような物件であれば、過去の実績を踏まえ将来の予測も勘案し、土地の価値をはかり、検討して利回りの面でも合うなら、わるいことはない物件も中にあると思っています。
駅近の小さ目な土地であがってくる収益と、駅から遠い小さくはない物件からあがってくる収益、土地価値と収益力や、価格、利回りなどを比べてみると、不動産投資として一概にどちらがいいとばかりは言えない、見方は残ります。
その見方が目利きと言われる部分であり、成功している投資家の方はこの部分が発達しているのだと思います。
もちろん不動産業者も、目利きに関してはプロである以上、開発されているはずです。開発されているとは言いがたい不動産業者、担当者、開発されているとしてもその程度などにはかなりのレベル差があります。また、得意な物件得意でない物件と、テリトリーも分かれますので、不動産業者が言うこともまちまちになる場合があります。買う方がそれらの実情を踏まえて、ご自身で物件を判断していただくことが不可欠だと思われます。
物件だけではなくそれを持つ(所有する、購入する)方によって、物件は合う合わないが出てきます。
自分のことは自分が一番わかっているというところからスタートするならば、目利きや好みは個人の価値観であり、不動産業者が言えるのは、いいわるいそのものではなく、いい面とわるい面、その物件がお好みに合いそうか合わないか、その物件が向いていそうか向かなさそうか、そうしたところまでかもしれません。
この物件を買えば成功、あの物件を買ったら失敗、というのはある程度王道があるとしても、どちらが成功か失敗とは何かが人それぞれである以上、不動産業者としては、買主様のご判断を受け止める繰り返しが仕事であると思います。
ところで、私は「仕事」とは「訓練」であると考えています。
社会に出て初めて仕事をした時には、「訓練」だなんて考えもしなかったのですが。
仕事を始めた頃には、きっと、「仕事」とは『成功』とか『なりたい自分になるため』とかそんなふうなことを考えていたような気がします。
しかし、この年齢になって、私にとって「仕事」とは、なりたい自分は今ある自分で良しとなり、憧れた『成功』は「すっぱい葡萄」なのかしら、それ自体は私にとって意味をなさないものとなり、業務(仕事)とは、日々の訓練と考えている自分に行き着きます。
トライ&エラーしつつチャレンジし、再チャレンジしながら、繰り返しの中で私自身に身についてくる身体の強さ、心の強さ、頭の中の想像力のようなものに思えます。反応であったり、感覚であったり、直観や記憶力であったり、私の中の能力が鍛えられていく、その鍛錬が継続されていく場が、「仕事」のような気がするのです。
私の場合、苦手な分野は相変わらず苦手でも繰り返すことで、少しだけわかるように、できるようになります。
得意な分野も抜群であると言えるのはほんのわずかか、あるかないかも判然としないほどわずかですが、それでも、訓練していくことで、1つくらいは抜きんでてくることもあるのではないか、あればいいなと思います。
毎日の訓練を続けていくことが、仕事になるのであれば、対価はその訓練のリターンであり、訓練により提供できるものが報酬に値する場合に限って、報酬は得られるものだと思います。
自営ですので、報酬は自分で稼ぎださなければなりません。
しかし、報酬は、自分以外のところから得られるものなのですから、報酬に見合う仕事をする、できるようにならない限り、得られるはずはないのだと思っています。
バランスの良い土地にバランス良く造られた建物、小さな土地にぎりぎり作ったような建物、そのどちらも、収益が得られるいい運用の方法があるとして、短期と長期、トレンドや競合、いろんな要素が複雑に絡み合ってくるので、投資の判断は人によるものですが、いずれも加点ばかりではなく減点される部分はあるはずです。
どちらの建物も、維持管理していく必要があり、人は、たとえば自分が大きな土地でも、小さな土地でも、駅近にある物件でも駅から遠い物件であるとしても、日々、その自分を維持管理していかなくてはならないでしょう。
自分自身はすでにあります。どのような自分であったとしてもその自分は維持管理していかなければ、たとえ話になりますが利回りが下がってしまいます。
仕事は「訓練」により、自分自身の利回りを下げない、できることなら利回りをあげていく、そういうものなのではないかと今の私は考えているようです。
年齢を重ねると、若い時のようにいかない。健康の維持一つとっても、気をつけるに越したことは無い。
維持し適切に管理していかなければ、自分自身のパフォーマンスは下がり、老朽化が早まることになるわけです。
どのような物件であっても対価が付く以上(無料で引き取っていただく、あるいは引取り代を支払う物件も出てきていますが)、人間も、その利回りを維持できるよう、あるいは利回りをあげていけるよう、努力をしていく。そういうのが自分の人生観であるような気がします。ちょっとそんなことをこれを書いていると、思うのは、私が不動産業という何でもお金を基準に考えるところがある商売人であるからでしょうか。
皆さんはどのようなお仕事をされていますか。
そして、皆さんにとって「仕事」とはどのようなものですか。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美