カズシン・ブログ

カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。

このところ、不動産。民泊、ホテル。投資物件

2020.07.12

知り合いが池袋方面で民泊を経営していたのですが。新型コロナウィルスで旅行者がいなくなって、立ちいかなくなりました。苦悩されており相談を受ける中で、池袋で賃貸仲介業をされている業者さんを紹介したところ、1年6ケ月(最長2年)の契約で賃借人が決まったとのご報告をいただきました。ひとまず落ち着けると、大層ほっとされて喜んでおられます。

さて、私の知る限りでは、レジャーホテル(ラブホテル)は、ビジネスホテルや民泊ほどはコロナの影響は大きくなかったようです。

それでも大幅に売上減少して、大層大変な状況になっています。

とくに風俗のお客様が中心の店舗では売上激減しているという話もききます。

コロナウィルスのことがまだよくわからなくて、パニックになりはじめていた頃より、一通り経験して少しわかってきた今、数ヶ月間の売上が数字ではっきり見えてきたので、いよいよ今回の影響の大きさに実感が付いていっておられるような印象も受けます。

それでも、ビジネスホテルや民泊等から聞こえてくる壊滅的な売上ダウンの話に比べると、底堅いのではないかという印象が強いです。

『底堅い』。そうです、レジャーホテルビジネスは、今回のダメージの中で底堅いことが一層理解できるビジネスでした。

一層見直したという感じです。

元々利益率の高さが魅力であったレジャーホテル(ラブホテル)ビジネスですが、若者の車離れや少子高齢化や、その他諸々の要因があってのこと、傾向としては伸び悩んでいる、売上で言えば減少に転じている店舗が増えていると感じておりました。

競争もあり、苦戦を強いられている店舗では、毎年売上が下がり、経費削減では追い付かず。結果として、売りに出るという流れになることもあります。そういう店舗の中で、やりようがありそうな物件を買って、拡大しているチェーン店もあります。

いずれのビジネスも競争に晒され厳しいものでしょうが、レジャーホテル(ラブホテル)ビジネスも厳しいところがあると感じます。

そんな中での、コロナショック。元本返済を止めて利払いのみにしてもらって嵐を凌いでいるオーナー様も多いと聞きます。

それでも、『底堅い』ビジネスだと言えそうです。レジャーホテル(ラブホテル)以外の宿泊業がほとんど売上が立たないような状況下でも、売上は大幅に減少したものの総崩れともならなかったという状況を見ると、ビジネスとしての「実力」というのか、「底力」のようなものがあることにあらためて気づかされました。

 

レジャーホテル(ラブホテル)は休業要請の対象業種とはなりませんでしたが、緊急事態宣言(国内7都道府県に対して)が発出された4月7日頃から休業した店舗があります。

 

ところで、24時間365日稼働することが役目であるレジャーホテル(ラブホテル)が休業すると、設備等に不具合が出てくるようなこともあります。一旦休業してしまうと、再開が困難になることもあります。

今回のコロナウィルスによる休業の以前にも、休業に入り休業したままご自身での再開を断念し売りに出されるホテルがありました。半年も休業したホテルは、ほとんどの方は購入を見送られるような気がします。一年も休業すると、よほど立地の良いホテルで、大きな設備投資、改装をおこなう前提でなければ、手をあげる方も少ないと思われます。中には、売り出し価格がかなり安いというところから、事業計画を立てて、全面改装を前提に購入検討されるところもありますが、立地やホテルや休業状態にある等事情によって、融資が非常に付きづらいということもありますので、休業してしまうとホテルは概して非常に売りづらくなります。

それでも休業するということは、休業を決断した多くのオーナー様にとっては苦渋のご事情があったのだろうと思います。

 

休業しないで開けておいても、お客様の入りはほとんどなくて、売上も見込めず、経費だけが出ていく。それでもスタッフ(フロントさんやルームさん)不在というわけには営業ができないので、人件費に見合う売上も立たず、経営状態で言えば悪循環が続くこともあります。

 

今回のコロナショックの只中にいて、レジャーホテル(ラブホテル)オーナー様やスタッフの皆様も早い「終息」を願っています。

 

では、新型コロナウィルス感染症により世の中に変化が起きた中での一般的な不動産投資の状況はどのようになっているのでしょうか。

私の狭い範囲の印象にすぎませんが。東京の立地の良い駅近の中古区分マンションは「底堅い」か、むしろ「強い」ような気がします。

賃借人付きの手頃な投資用ワンルームも、実需向けのファミリータイプマンションも、価格が急降下というような感じはありません。

これから出てくるのかもしれないですし、それを待っている方も多いのでしょうが、私としては、そういうことは(たとえば過去のリーマンショックの後に、東京の駅近中古区分マンションも急激に値下がりした)起こらないと思っています。

実際は今後、コロナショックとして、そういうことも起こるのかもしれないですが、駅近の中古区分マンションの「底堅さ」のようなものに安定感や魅力を感じて、投資対象とする人は一定数おられます。また、スルガショック(スルガ銀行がサラリーマン大家さんにたくさん融資をしていたが、シェアハウス『かぼちゃの馬車』等の問題もあって、不動産投資に対する融資が絞られて、物件価格も下降に転じた)などもあり、一棟収益物件への融資が受けづらくなったり、大きな投資に慎重になった方たちが、中古区分マンション投資を見直し始めたといった背景もあるかもしれません。

 

(中古)区分マンションは、昔から「旨味が少ない」とか言われておりますが、半面「手堅い」「大きなケガはしにくい」という利点もあると思われます。(新築区分マンションは、投資対象としては難しいのではないかという気が私はしておりますが。)

もちろん、中古区分マンションも東京23区内であれば、およそ1000万円くらいはするものですから、投資をする方によってはその失敗が一生の損失となることがないわけではありません。それでも、入居者の方に家賃を支払っていただける限りは、価値はゼロにはならないのですから、入居者が入る物件を選べば、物件単体で大怪我をするリスクは、それほど大きくはないと考えます。

 

よほど売り急ぎのような事情がなければ、安定して収益がとれる投資物件としてほどほどの価格は付きます。また、価格帯が手頃であり購入できる層が幅広いので、底値みたいに、安直に安値で出回るということは、私には考えづらいです。

とは言え、ある程度のスパンの中で、物件価格が安値に転じて、その流れが加速し、割安感のある物件が出回るという状況は生まれるのではないかと思っています。

しかし、そういう状況というのは、大多数として買える人、買う人がいない状況でしょうから、皆が手ぐすね引いて待っているというような状況では起こらないと思います。気分的には「投資している気分でない」、経済的にも「投資に回すお金はない」、欲の面で言えば「もっと下がるはずだから、今は様子見しておこう」こういう諸々が見事に一致して、物件は安値に徹するのではないかという気がしています。

底値で買えればそれはいいのでしょうが、安値(底値)で手に入る時に、自分が手に入れることができるかどうかというのが一番大きなところでしょうか。そして、私は、少なくとも自分には、そういうことは起こらないと思っています。

狙ってとれるほど、投資というのは簡単なものではないと思っているからです。思い通りにいくには、よほど生まれつきのセンスのある方か、経済的にかなり余裕があり、お金がお金を生んでくれるような流れにある方、あるいは、よほど勉強した方、よほど勉強した方というのは失敗もしているはずですから。だから、仮に誰かがとても成功していたとしても、その方には大変な才覚(努力)があったのか、失敗もしながら苦労の末ようやく成功されたのか。そういうふうに考えるので、誰もが成功するとは思えないのです。

 

東京の駅近の中古区分マンションの実需向けに関しては、新型コロナウィルス感染症による雇止めの影響などで、「住宅ローンが払えない」方が出て任意売買物件が増えるという話が出ています。

そういうことは起こると私も思っています。しかし、安値で出回るかというと、それほど安くはならないのではないでしょうか。

不動産業者が買取転売の対象として、皆目を皿にして探しています。買い取ってリフォームして、お住まいとして購入される一般の方に買っていただく。不動産のこの買取転売の分野は、長くあり、いつも(住宅ローンができてからでしょうが)あります。

 

この分野に入っていく不動産業者は大変多いです。買取転売に特化している不動産業者も多いです。そのような業者さんが足を使った営業活動はもちろん、取引ごとに積み上げてきた信用(必ず買う)をもとに、転売用物件を探しています。そうした業者さんのところに、任売物件情報は行きつきます。業者さんがリフォームして、一般の市場に出回るようになります。

もちろん、市場で購入していただける一般のお客様がいなければ、物件は安くなりますが、不況になっても(不況で物件が手頃な今だからこそ、のような感覚で)ご自分たちが住む住まいを買う方はおられます。家族構成もありますし、家賃を支払い続けるなら買って自分のものにしたいという気持ちが起きるからでしょう。

買取転売業者さんが仕入れて、一般の方に売る、という流れの中で、買っていただけるお客様がいる限りは、物件はそれほど安くならないと思います。

買取転売は大変難しい分野だと思います。難しいというのは、(ある意味、誰でもできるから)誰もがやっているからこそ、成功するのも生き残るのも難しいのだと思います。

不動産業者であれば、仕入れ資金が借りられます。短ければ半年、一般的には一年間で返す約定で、物件を仕入れます。仕入れてリフォームして売りに出します。買ってリフォームしてすぐに売りに出して、数ヶ月経ってまだ売れなければ、「失敗」(仕入れに)したと気が付く、という感覚になるとききます。数ヶ月で売れなければ「失敗」だったと気づいた物件を、その後は返済期日に間に合わせるために何とか売るために四苦八苦し、夜も眠れなくなるのが買取転売業者のしんどいところなのでしょう。

参入障壁が低くて、誰もがやれる、誰もがやりたがるビジネスというのは、かえってその分「厳しく」「難しい」のだと思います。

競争が厳しいところで、勝ち抜くというのは、生き残るというのは、本当に大変なことで、そこに至るまでどれほどのご苦労があったのだろうと想像すると、そういうビジネスを長くやり続けておられる方には頭が下がります。

 

一方、一棟収益マンションや一棟アパートなどは、立地によるでしょうが、物件の選別の目を厳しくしすぎない限りは、価格が下がったものが出てくるような気がしています。

スルガショックなどもあった後ですから、どうしても一棟物への目は厳しくなりがちだと思います。

一般的に、一棟物件は値が張りますから、買える方は限られてきます。限られている方が買うのに、買う方の目が厳しくなるということは、価格を下げざるを得ない傾向に入ると思われます。すでにそういう面に入っているのでしょうが、その傾向は続き、物件によるのでしょうが、こういう時期、そういう時期でなければ、その価格にはならなかったという物件に出会える方もいるのではないかと思います。

買取転売業者が在庫で抱えている物件が値を下げてでも処分という事情なども出てくれば、そのあたりでのチャンスもあるのではないかという気がしています。

そうはいっても、またそういう物件を狙っている方も大勢おられるでしょうから、奪い合いが続けば、価格もそれほどは下がらないという循環に入るのでしょうか。良い物件、人気物件は手堅く強いと思います。

良い物件、人気物件でなくても、自分なりの目利きで、やりようがある物件を狙っていかれる方もおられるでしょう。

そういう方は、すでにもう熟知されているから、私のこのブログを読んでもあまり役には立たないのではないかと思います。

総じて、コロナショックによって、物件は安くなるでしょうが、自分がほしいと思う物件が安くなるということは案外少ないのではないかと思います。

安くなれば、安ければいい、という買い方をされるのであれば、チャンスはあるかもしれませんが、長い目で見て欲しいと思う物件だけ買おうというような考え方の方にとっては、少しは買いやすい物件も出てくるのでしょうが、劇的に、というような大きな変化があるのかどうか。私としては、長い目で見れば、それほど大きな変化はないのではないかという気がしております。

それでも、全般的には、中古区分マンションが概して手頃になって、一棟収益マンション・アパートが選別を厳しくしなければほどほどの価格からさらに根交渉がきくようになる、そういう感じの市況に入ってはいくのだろうという気がしています。

しかし、その市場で自分の思うような買い方ができるのかどうか、は未来のその時にわかることであり、その市場で買ったことが正解なのかどうかは、後になってみてわかることだと思います。

私としては、そのような市場にこれから出会えれば、その時の状況に応じてですが、小さな中古の投資用区分マンションを買いたいなと思っています。手間がかからないのと、大掛かりな修繕などを自分でしなくていいので、心配がいらず、入居者の方が安定していれば、労力もかからないからです。

いろいろな人がいると思います。いろいろな考え方があると思います。

 

たとえばレジャーホテル投資は、たんに投資だけで儲けるのは難しく、自分自身で経営、運営してまわしていく物件だと思います。

そうなると、人もいります。継続して営業するためには、後継者の問題も関わってきます。そういう事業の諸々、気苦労や、資金調達、返済のこと。それをやりきれる方がいずれ成功して、大きくなられる世界だと思います。並々ならぬ事業への情熱がなければ、成功は簡単ではない世界だと思います。

人がどう言っているとか、世間がどう言っているとか、そういうことはうわさ話のようなところがあるのでしょう。

コロナの影響で、物件価格が大幅に下がると言われていますが、そういうこともたしかに起こると思いますが、うわさ話のようなところもあるでしょう。

結局は、自分の勘(経験)を信じて、周りのうわさ話には乗らず、やってみるということではないでしょうか。

私が思うところは私の性質によって制限されています。他の人の言うことも。世間の言うことなどは、一層、誰が言っていることなのでしょうか、と思うところがあります。

私の思うところは、私の知っている狭い範囲で私が感じたところまでのことです。

東京の一つの区に住み、東京の一つの区で不動産業の事務所を置いている、その私が思うところまで。

 

カズシン株式会社

代表取締役 山内和美