カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2020.02.21
アルヒ(ARUHI)が融資の窓口となった投資用マンション
不適切融資がニュースになっています。
融資を実行した「アプラス」
東洋経済 online 2020.2.4
https://toyokeizai.net/articles/-/328217
「アプラス投資用マンションローン」(アルヒとアプラスによる投資用マンション向け提携ローン)で投資用マンションを購入した方
知らないうちに審査書類が改ざんされていたそうです。
さて、『かぼちゃの馬車』(スルガ銀行が融資)でも審査書類の改ざんが行われ、大きな問題となりました。
サブリースで家賃が保証され、自己資金なしでもスルガ銀行が融資してくれる、とすれば、だからこそ「いい」物件だと思ったのだとしたら、書類の「改ざん」があってもなくても、同じように「いい」物件だと思えたのでしょうか。「いい」も「わるい」もなく、気がつくと断れなくなっていたということもあるのでしょうか。
かぼちゃの馬車他、騙されたも同然で不動産投資物件を買われた方々について言えば、「改ざん」を事前に全く知らなかったのか、あるいは多少でも気づいていたのかなどは私の方ではわかりません。ただし、万一事前に知っていたか一切知らなかったのかは、気持ちで言えば割と大切な部分だと思われます。
『かぼちゃの馬車』とその価格を照らし合わせれば、不動産業界でそこそこ実務をしている人間であれば大抵は、このような物件が採算が合わないことはわかるとして。それでも、借入をする人の属性等によっては融資してくれる銀行があるとすれば、スルガ銀行が融資してくれるとなれば。融資を受けられる基準に、購入する(融資を受ける)人の内容の方を合わせてしまった、ということでしょうか。
物件が難しくても買う方の属性がよければOK、という案件であれば、不動産業界は、書類を改ざんしてでも、その人の内容を誤魔化してでも、物件を買わせてしまう。そういうことが起こったということになるのでしょうか。
そういうことを行った不動産会社や不動産営業、不動産コンサルタント等、そして介在したブローカー達がいたということになるのでしょう。
ところで、『かぼちゃの馬車』の問題をきっかけに冷水を浴びた、この数年の「不動産投資熱(ねつ)」。
熱の出始めた頃でしょうか。
ある人から不動産投資(大型物件の購入)をしたいということで、ご連絡がありました。
その方は全く知らない方でしたが、ご自身についても積極的に明らかにしていただけ、身分証明書等の送付、経歴についてもご説明いただけました。
大きな自己資金があるということでした。
購入希望された物件の価格帯が大層大きかったです。
「物件」が絞り込まれ業務を進めるうえで自己資金について念のため確認させていただけないかとお話しましたところ、「通帳のコピー」が送られてきました。
お話通りの多額の現金が入金されている「通帳のコピー」でした。
通帳に書かれている数字(金額)の真偽について言えば、おそらく真実ではなかったと思います。
途中でお話も終わりました。通帳の原本は確認しておりません。したがって、真相は不明です。
大きなお金が動く不動産。いろいろな方が出入りしています。
不動産業者やブローカーの中には、「かぼちゃの馬車」で明らかになった通りとんでもなくわるい人たちもいますが、不動産業者だって、よほど気をつけて慎重になっていなければ、よくわからないところで危ない話に巻き込まれてしまうこともありえるということです。
いろいろなところに、いろいろな思惑を持った話が「いい話」「いい物件」「いい人」の顔をして近づいてきます。
不動産投資の話を持ちかけられた時、一般の方も、どうか慎重に、気をつけてください。
そして、不動産業者である私も、慎重に、気をつけていなくてはならないのがこの世間というものなのでしょう。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美