カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2018.06.04
私がレジャーホテル(ラブホテルも含めて)の売買のコンサルティングや仲介業務をおこなうようになり、通算14年5ケ月となります。
特殊物件であり、一棟おおむね数億円クラスのため大きな金額が動き、収益物件の中でも特別利回りの高い物件としての位置づけにあります。
したがって、「騙し騙され」の世界が繰り広げられているかのように想像される方もいらっしゃるかもしれません。
そうでしょうか?実際の取引現場はどのような感じだと思われますか。
スマートデイズ(旧スマートライフ)が「かぼちゃの馬車」をオーナー様たちに販売し(販売会社等)、今回、スマートデイズが破綻(破産)したことによって、借上家賃保証(サブリース)も無くなり、オーナー様たちは大変お困りになる事態になりました。
今回のスマートデイズ(旧スマートライフ)の新築シェアハウス(物件)の取引現場では、販売会社等による書類(自己資金額等)の改ざんもおこなわれ、不動産の取引に慣れていないオーナー様にとっては、「騙された」と感じられる出来事があったようです。
サラリーマン(会社員)の方々ほか、主に個人に向けて、スマートデイズ(旧スマートライフ)、販売会社等は、「かぼちゃの馬車」(新築シェアハウス)を売りました。
お買いになられたオーナー様は、不動産物件を複数所有されている法人というよりも、個人の方で不動産投資に関心がある方々が大半であったという印象を受けます。
したがって、情報や知識の質および量、経験などの面で、購入されたオーナー様は、スマートデイズ(旧スマートライフ)、販売会社等と同じテーブルには乗れず、いい話を鵜呑みにするといった例が多くあったのかもしれないと思います。
レジャーホテルの場合も、新規参入したいということで、不動産投資に関心がある個人(会社員の方など)から購入したいというご相談をいただくことがございます。
ただし、レジャーホテルは新規参入する個人に対して、融資が簡単には付かず、投資したくても、現実のハードルはかなり高いと言えます。
また、そういった背景もありますので、レジャーホテル売買取引の現場は、おおむねプロの方々(法人)による取引が中心となります。
プロですから、「騙す」こと、「騙されること」の意味をよく理解されておられます。そのようなことが起こらないように、仮に起こったとしても泣き言は言えない、「自己責任」で、取引(決済)をするというのが私が感じる、レジャーホテル取引現場の一つのイメージです。(とはいえ、中には、レジャーホテルもプロではない方が購入されるケースもあり失敗する方もいて、「騙された」と思われる方もいる世界でもあるようです。しかし、限度を超えて同情されることは少ないと思われます。)
私自身は、新規参入されたいという個人の方に対して、レジャーホテル物件をおすすめすることは基本的にございません。なぜなら、先に述べた通り、借入が大変難しいということのほか、特殊物件であり目利きが必要な上に、よくわからないで買ってしまったら「失敗」するリスクもあり、購入の際に「自己責任」を徹底的に理解いただく必要があるからです。
「徹底的に理解いただく=おすすめはしづらい」ということになりがちのため、安易におすすめすることはございません。
レジャーホテルを購入して投資されたいという方は、レジャーホテル自体は投資経験がなくても、すでに、収益物件(一棟アパート・マンションほか)をご所有されている方も多いです。
借入をして返済しながら、もう1つ物件を増やすにあたって、レジャーホテルの収益性の高さ、利回りの良さなどが魅力に感じられて、ご購入をお考えになる方が多いと思われます。
しかし、全般的に利回りが良いということはそれだけ投資も難しく、難易度が高いということは、それだけリスクもあると考えた方が安全だということになります。
経験を積み、慣れたプロであれば、たしかにうまくいけば高い利回りを実現することも可能ですが、新規参入の方が同様に実現できるかと言えば(中にはものすごい努力と覚悟でやり切る方もいるように思われますが)、それほど簡単ではないように思われます。
プロの運営管理会社に委託して、というご相談も多いです。それはわるいことではないと思いますが、管理委託料を支払いながら、数億円の借入の返済もおこない、途中修繕にも費用がかかるので支出をしながら、ということを考慮しますと、多少のことでは資金がショートしない力のある会社(本業で成功している法人)や、よほど運よく物件に恵まれるか、といったことが前提となってくるような気がしております。
数億円しない数千万円くらいの物件(レジャーホテル)もありますが、売上が小さいとか、古いとか、地方の集客が難しいエリアにあるか、といった諸々、価格に応じて、懸念材料やリスクも出てまいります。
投資をする投資家は資金を動かせる方であることが、一つの前提となります。そうした投資家が物件を購入し、プロの管理会社が運営し、上がった収益からオーナー様は返済をおこない、手残りも出せる、そういう物件があれば、投資家に物件をすすめる管理会社は多いでしょう。
さて、私自身は、本業がホテル経営である法人やプロの運営会社(管理会社)を中心に、ホテル物件のご紹介を行っております。
プロの運営会社が直接自社でご購入されることもあります。また、投資家を付けて管理受託することもあります。
運営会社の力量を信用した投資家が物件を購入し管理を委託するわけですから、受託した運営会社は、オーナー様の利益を確保できるように、運営努力を行っていく必要があります。
投資家が所有する物件の運営受託をおこなうところもあれば、原則自社購入物件のみ運営(自社所有以外のホテルの運営管理は受託しない)しているところもあります。
「自社物件のみ、自社物件の運営管理がほとんど」あるいは「投資家の物件の運営が中心」、それぞれのホテル運営会社さんのお考えだと思います。
自社でまずは購入し決済・登記した後、そのホテルの状態に慣れ売上をあげていきながら幾分安定してきたところで、投資家へ譲渡(売買)し、運営管理受託に切り替えるという方法をとる運営会社さんもあります。
細かいところで言えば、いろいろな取引があると言えますが、特徴的なのは、「プロの取引」であり、売主様にも買主様にも、取引に関する「自己責任」の意識が強く求められるということです。
たとえ情報や知識・経験が十分備わっていなくても、レジャーホテルの取引(売り・買い)を行うということは、プロとしての覚悟といったものが付いてくるようです。また、それが無いと、大きな金額が動き、特殊な物件であるのですから、万一「騙し騙され」た時のダメージも少なくないと思われます。だから、「騙し騙され」ないよう、皆さん、取引(決済・物件引き渡し)が終わるまでは、張り詰めた意識で、緊張しておられます。
取引(売買)というのは、本来、こうした緊張せずにはいられない現場だと感じております。
仲介人としても、無事に決済・引き渡しが終わると、安心感もあって、へとへとになっている自分に気づくものです。
レジャーホテルの場合、それが特に「プロ」の持つ独特のオーラもあり、厳しい現場だと感じております。
だからこそ、自分自身、これからも、この取引現場で信用に値すると売主様・買主様から太鼓判を押していただける「仲介人」であり続けたいと思っております。
レジャーホテルの売買仲介を私が今までやってこれて、これからも一生やっていこうと思えるのは、もっとも儲け主義(お金、欲の世界)に見えがちな世界である一方、経営(運営)している人(法人)は原則プロです。もしプロでないとしたら、参入には「騙し騙され」の怖さが半端なく想像されてしまう世界です。したがって、参入した時点でプロと同じくらいの「覚悟」を持てないとやっていかれない市場だからではないかと感じています。「覚悟」が求められ、「言い訳がきかない」といった観点からも、私には、わかりやすいのだと思います。
はっきりしない「あいまいな何か」が何なのか、プロはいつも、事前に察知しているようであり、納得しないと動かない。それが「プロ」だということなのだと感じています。
スマートデイズ(旧スマートライフ)、販売会社等が、「かぼちゃの馬車」をサラリーマン(会社員)の方々ほか、不動産投資の怖さをあまり理解されていなかったと思われる個人オーナー様方にお売りになった、ということの、ちょうど反対の側を私の立ち位置にしているのではないかという気がしております。
身内が不動産で「騙されて?」、近所の優しいおじさんが「巻き上げられて?」「何もかも」、あるいは「ほとんどを」無くして、その後の人生が本人にとって(おそらく)やり切れないものとなったことが記憶から消えず、私は、不動産の世界に足を踏み入れたのだと感じています。
それだけが理由でもないです。学生時代には賃貸物件にいくつも住みましたが、あまりにひどい不動産屋さんや、あまりの大家さんにも出会いました。対処する術も知識もなくて、不本意な結果になりました。
不本意が宿題になって、不動産屋さんの立場から、不動産を知りたいと思いました。
私自身が騙されて後悔の人生に陥らないように、私の大切な人が騙されて泣き続けるような人生に変えられないように、そして私自身騙さない人間でいられるように、人を泣かせたりしないですむように。願わくば「人を守れる」人間になれるように。人間へのそんな思いから、私は、不動産屋になりました。
「不動産業は人間業」と言っている、私の同業者の方がおります。
その通りだと思います。
私が不動産屋になったのは、ある意味、ミイラ(不動産)取りがミイラ(不動産屋)になったようなものですが、ミイラを取りに行った時の気持ちは忘れることがございません。
不動産は大きなお金が動く世界であり、人間の欲との闘いのような部分もあるような気がいたします。しかし、わるいものではなく、その欲も適切に使えば、人間を賢くしてくれ、豊かな人生、良い人間関係さえ気づかせてくれるものだと思います。
利益追求のある世界ですが、むしろ欲に踊らされない人間でなくては、長続きはしない「正直さ」が不可欠な世界でもあると感じております。
私は自分も騙されたくない、そして人も騙したくない。そう思って、不動産の世界で、この人生を生きてきております。
そうは言っても、では私は他人に騙されていないのか?いいえ、やはり、騙されることもたくさんあったような気がいたします。不動産に関してだけのことでもございません。
自分の未熟さや不安定さを理解しておらず、相手の思惑の想像以上の自分勝手さを知る、ということができずに、幸い大きな事にはならずに済んでおりますが、後になって「ああ、あれは無いよなあ」と思わずにいられない出来事はございました。
そういう一つ一つの経験が身に付いて、人間というものが少しずつ以前に増して、自分なりにわかるようになってきたような思いがございます。
自分を知り、相手を知ることの重要性がわかるようになってきたと思います。それが簡単ではないからこそ、またこの世は興味深く、チャレンジしてみたくなる出来事がたくさんあるのだと思っております。
レジャーホテル物件の仲介は、それほど簡単にまとまるものではないので、時々、成約できれば御の字と思っております。
それでも一件の仲介フィーがある程度高額になる場合が多いので(売買価格が高いので)、ぼちぼちやれて、ぼちぼち何とかなっている感じです。
レジャーホテル以外の物件仲介(収益物件、住まいなど)も行います。賃貸仲介も場合によっては承ります。
ところで、不動産投資に関しては、一般的に、安い時期に買うのがよくて、高い時期に買うと、苦労をすることが多いです。
とはいえ、不動産の高い時期には、一方で融資が出やすくなるので、買いやすくなり、売買は活発になりがちです。
レジャーホテルは、一般の収益物件と比べると少し波や程度に差があるとは思われるところはございますが、やはり、融資が出やすい時期は買いやすくなる(利回りは下がっても)ため、その面から言えば、売買は動くようになります。
レジャーホテルはもともと利回りが良い物件として買われているということ、またプロが運営(運用)するということから、きわどいラインでも、乗り切られる強い方がけっこういらっしゃるという感じを受けております。
そうは言っても、物件(ホテル)が高騰する時期において利回りが低くなると、プロ(経営・運営)の絞る知恵や流す汗も、より一層求められるようになるのではないかという印象を受けております。
築年数が経っているホテルでも、立地が良ければ、かなり高値で取引されます。高くても古くても、「採算が合えば」「自分がやれると考えれば」自分の判断で購入される買主。購入の目線は多少異なりますが、思い切りが良く見える方でないと、ほしい物件が手に入らないように感じられます。
ホテル経営をされている方は、不動産業もやられている場合が割合多いように思われます。
なお、不動産業をやられている方には、いくつかの特徴があります。
所有することが合う方、買取転売が合う方、一口に不動産業者と言ってもいろいろになります。
私自身は、一番、仲介が合うと思っています。
不動産仲介業を続けさせていただけているおかげで、たくさんの物件(情報)、様々な売主様、買主様との接点によって、情報の解釈や、売主様や買主様のお考えなどが、もちろん全部ではないですが、少しは見えてきているのではないかと思っております。
その人のもともとの性分や、仕事の仕方や姿勢などから、センスもいろいろ分かれていって、同じように不動産業、不動産仲介業の同業であっても、情報の解釈や、売主様や買主様のお考えの理解の仕方などは異なるところがあると思われます。
センスと言われる部分ですので、持って生まれたものと培ってきたものの総合力によるところだと思われます。
自分を信じて、自分の分野で磨いていくほかないと思います。
そして、自分のセンスを信用してくれた方が自分の大切なお客様になるのだろうと感じています。
自分が行きたいこの道をずっと歩いていこうと思います。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美