カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2018.05.22
かぼちゃの馬車(スマートデイズ「旧スマートライフ」一括借上保証をしていたが破綻した女性専用シェアハウス)を所有されているオーナー様から、以前(破綻が明るみになった頃)たまたま管理のご相談があったので、専門のシェアハウス運営管理会社をご紹介したことがあります。(以前のブログにも書いています)
その結果は、その運営管理会社さんから聞いたところによれば、「(おそらく)管理委託料の点で、他の運営管理会社さんでもっと安く受けるところがあったらしく、そこに決めたと思われ、結局自社では受託はできなかった」とのことです。
「管理委託料がもう少し下げられないか」とオーナー様から打診があったそうですが、その運営管理会社さんでは応じることができなかったそうです。
シェアハウスの管理料は、一例として家賃の20~30%くらいと言われています。
管理の手間暇等から見れば、20%では厳しいというのが実情のようです。
その運営管理会社さんは、自社規定の管理料から下へはあまり下げられなかったのでしょう。
管理の内容の詳細がどうであったか、またどこに決まったかは知りませんが、ともかく、オーナー様ご自身が任せて良いと思われたところへ委託ができて、良かったと思います。
さて、今回の「かぼちゃの場所」等への融資に関して、行員が「自己資金額」等の書類改ざんを黙認していたとの件で、スルガ銀行の今後が気がかりなものとなっています。
大幅に下げてきた株価も回復する兆しは、今のところ見えません。
中心的に融資をしてきた支店の役職者などがすでに退職していたことについて、金融庁が「待った」をかけているようです。
関係者が退職してしまっては、事実解明が難しくなるからのようです。
銀行員が「黙認」していたことのほか、今回のシェアハウス販売会社等から接待やキックバックなどを受けていた行員もいたと言われています。
シェアハウスを買わされたオーナー様たちが、気が付いた時には返済不能の多額の負債を背負わされていたように、スルガ銀行の一部の行員の方たちも、気が付いた時には抜き差しならない関係になっていたということでしょうか。
恐ろしいことだと思います。
もちろん、抜き差しならなくなったがゆえに、融資を通していたのだとすると、大きな問題です。このような関係になってしまえば、正しい仕事をおこなうことは不可能になると思います。
書類の改ざん等を黙認をしてまで成績をあげたかったわけではなかったとしても、成績をあげたい(融資したい)という気持ちがあれば、心はざわざわざわめきつつも、成績にプラスになるという名目も立つため、断ち切ることもできず、といったところがあったのでしょうか。
そして、正しい仕事を行わせないことによって、販売会社等は利益を得ることができたという図式になるのでしょうか。
ところで、今回のこのスマートデイズ(旧スマートライフ)のビジネスモデル(30年借上げ保証やサラリーマン投資家)は、一人で考えられたのでしょうか。それとも複数の方々によって練り上げられたものなのでしょうか。
こうしたビジネスモデル自体は、今回が初めてというものではなく、似たようなものは今までもあったと思われます。
似たようなものをいくつか複合させて、今回のビジネスモデルが考えられたのではないかという気がしています。
新しいビジネスモデルではなく、従来のビジネスモデルの組み合わせによるものではないかという気がするのです。
となると、完全に一人で考えたというよりも、混在の程度や関わり方に差異はあったとしても、何人かの経験や知識等が今回のビジネスモデルの中には混在しており、所々で絡み合っているような気がします。
何か事や物が動く時(今回は「物件」が動き、大金が動き、融資が実行される)には、いくつもの思惑や、何人もの関係者というのがいるというのが法則のようなものだという気がしています。
だからこそ、無責任な感覚が持たれるようになり(自分一人ではない)、事や物の動きは、倍々、加速度を付けて、急速に広まり、拡大していった。ゆえに、数年で1000棟といった規模でシェアハウスが次々に建築され、次々に販売されていったということになったのではないかと思います。
法的な責任がどこに、誰にあるのか、また法的な責任はないとしても、思惑や悪意などがあった人がどのくらいいるのか。
1000億円規模でお金が動いた「スマートデイズ(旧スマートライフ)」今回の件には、予想以上にたくさんの方々が(悪気はなかったという方々も含めて)関わっているような気がします。
関わったことだけにおいては、責任を問うことはできないでしょう。また、責任を問われるとしたら、恐ろしくてどのようなビジネスにも手を出せないかもしれません。
しかし、「お客様や人を泣かせることになるビジネスには関わらない」という信念をしっかり持っていれば、大きくはずれてしまうことはないのではないかとも思います。
精通している方から見れば、「かぼちゃの馬車」等、今回のシェアハウスはおおむね、購入したら後が大変になるのがわかっていると言っても言い過ぎではないように思われます。
売った後に、買われた方が、自己破産や思い詰めて自死をするというような物件はすすめたくないものです。
とはいっても、不動産は市況が急激に変わったり、天災地変等により、いかんともしがたい状況にもなりえます。また、投資物件である以上、「投資」のリスクは必ず付いてきます。リスクがないがリターンだけ莫大になるといった物件はないです。
したがって、「投資物件」を買われる方は、リスクのある物(物件)を買われるという意識を忘れずに、何かあっても、ご自身が対応できる範囲で、物件を選び、選んだ後は、「自己責任」ということが原則となることを覚えておいていただきたいと思います。
今回の「スマートデイズ(旧スマートライフ)」のシェアハウスの件は、「自己責任」論で封じ込めてしまうには、あまりに気の毒ですが、物(物件)やお金(融資)が動いた後、それを一回無かったこと(リセット)にすることはできず、どの方面に動いていったとしても、無傷で無かったことにはならないと思われます。
できれば傷を負わず、傷を浅く、と願いますが、やはり一番いいのは、「投資は自己責任」の言葉を心に刻んで、よくわからない物(物件)や話には乗らないことだと思います。
よくわからない話をされたら、その話にはどのくらいいいところがあるように思われたとしても、スルーされることが賢明だと思います。
はっきりした話は、それほどいい話ではないはずですが(世の中には、何もかも「いい話」というものはまずあり得ません。どのような話にもなにかしら難しい面があるはずです。)、それほどいい話ではないものの、はっきりした話について現実的なところでしっかり考えられて、最悪のリスクも受け入れる覚悟で、それでもやってみる、ということ。それが不動産投資の肝心かなめのところだと私は思っています。
それでも、相手が自分より上手で、いろいろ巻き込まれてしまったら、損失は防げないでしょう。不動産投資は、自分で現物を見て、しっかり考えて、恐る恐る震えながら、それでも最後の最後に目をつむって実行する、そういう類のものではないでしょうか。
人の言いなりになっては絶対にいけない類のものだと思います。震えるのも自分、目をつむるのも自分。震えさせられたり、目をつむらされてはいけないです。危ないです。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美