カズシン株式会社 代表取締役 山内和美のブログ
不動産業界20年を超えて、この経験に基づく…取引のこと、物件のこと、人間のこと。
宅地建物取引業者(不動産業者)カズシンの代表 山内和美が思うこと。
2018.04.22
「かぼちゃの馬車」等スマートデイズ(旧スマートライフ)のシェアハウスを購入したオーナー様方が二次被害にあっているそうです。
『解決』してくれることを期待して、オーナー様がお金を支払うものの、具体的な解決策などは提案されないとか。
なぜ、そのような人を信じてしまうのでしょうか。
私が推測するところになりますが、オーナー様方のおつらい気持ちをわかって寄り添ってくれる方は、現実とても少ないのではないでしょうか。
だから、やさしい温かい言葉で近づいてくる相手に対して、「自分のことをこの人は理解してくれる」という気持ちから、藁をもすがる気持ちで信じてしまって、お金を渡してしまうのではないでしょうか。
世間には、「騙される方もわるい」という論調があります。それは酷だと私は思います。「騙される方もわるい」というのは、むしろ騙す側を正当化するような論理にもなりうるところがあるのではないでしょうか。「騙されないように注意する」ということで、騙されることへの自戒の念を込めて言う言葉であるとしたら、言葉の意味はあると思います。しかし、すでに「騙された」も同然の事態になってしまっている方へ対して、周囲が投げかける言葉としては、酷ではないかと思われるのです。
騙されたということを証明する証拠がない以上、「騙された」と言えるかどうかは判断がつかないところでありますが。心情的に「騙された」「騙されたも同然」という感じを強く持たざるを得ないだろうオーナー様方のお気持ちを想像するとき、出てくる気持ちや言葉としては、私にとっては「お気の毒」というほかないのです。
たとえば『投資は自己責任』論で、冷たく切り捨ててしまうような面は、「騙された」という気持ちを持たざるを得ない経過があったオーナー様方のお立場からすれば、いよいよ逃げ道のない「絶望」を生み出すものではないでしょうか。
「お気の毒」が今回の私の思いです。不動産投資は、「騙し騙され」ということがよく言われます。それほど怖い世界に、ふいに踏み込んでしまった今回のオーナー様方が「騙されたも同然」という思いを抱いたとしても不思議はないと私には思われます。
詐欺罪での立証はハードルがたいへん高いものであるとききます。
今回の「かぼちゃの馬車」の件が、詐欺であったかどうかということは私には言えることでももちろんありません。また、証拠が出てこない以上、そうではなかったということになるのでしょう。
それでも、オーナー様方が「騙された」「騙されたも同然」というお気持ちが本心であるとすれば、それがそのオーナー様方の本当(真実)(真相)ということになるように思います。
「騙された」と感じていらっしゃるオーナー様方に「自己責任」論を突きつけると、突きつけられたオーナー様は、孤独に思い悩む日々が続くことでしょう。
お金をなくした(借金苦)からだけであれば、自ら死を選ぶこともなかったかもしれないところでも、気持ちをわかってもらえないつらさが限界を超えて、自責の念(自己責任)にも駆られて、自死にいたる、ということ。こうした「騙し騙され」の世界では起こります。
今回の「かぼちゃの馬車」(スマートデイズ、旧スマートライフ)でも自死を選ばれたオーナー様がいらっしゃるようです。わかってもらえないという「絶望」の淵はどれほど深く、暗く、冷たく、寒かったことでしょう。
企業が利益を追求することは当然であり、またそうでないと企業としての役目も果たせないものだと思います。しかし、自社が利益を得るために泣く人が出てくる「ビジネスモデル」を実行することは、顧客に毒薬を飲ませることになります。本来であれば大切な顧客であり自分のことのように考えて差し上げるのがビジネスの肝であろうかと思われるところ、逆にあえて毒薬、劇薬を飲ませるということは、再考するべき「ビジネスモデル」であったということになるのではないでしょうか。
だからこそ、「騙された」と主張されているオーナー様方に対して、「お気の毒」であると思うのです。
カズシン株式会社
代表取締役 山内和美